エボラ出血熱:人的支援の拡大を急げ!

2014年08月18日掲載

西アフリカのエボラ出血熱の流行は、過去最大の規模となってなお拡大している。世界保健機関(WHO)が緊急事態宣言を出した、国際支援の不足は危機的で、感染制御に求められるニーズを満たせていない。

感染者・死亡者数が急増しているリベリアとシエラレオネでは、緊急事態がさらに深刻化している。一方、流行の発生源であるギニアでもなお、新規の感染疑い例が報告され、医療施設が患者を受け入れている。

WHOの報告では、流行が始まった2014年3月から8月14日までに、1975件の症例が報告され、1069人が亡くなっている。

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医療・災害援助専門家の大規模動員を

防護服を着用してMSF施設に応援に入る保健省職員(シエラレオネ) 防護服を着用してMSF施設に応援に入る保健省職員
(シエラレオネ)

WHOと各国政府には、ギニア、リベリア、ナイジェリア、シエラレオネの緊急支援を素早く拡大することが望まれる。まず、事態が深刻化しているリベリアとシエラレオネに人材・技術両面で大規模な医療援助を行われなければならない。

今回のエボラ出血熱流行の沈静化には、各国の医療・災害援助専門家の大規模動員が欠かせないことは明らかだ。ギニア、リベリア、ナイジェリア、シエラレオネの政府はそれぞれ、感染対策に全力を注いでいる。この4ヵ国に絶対的に必要としているもの——国際援助だ。4ヵ国の医療従事者や病院職員は、エボラ流行の最前線で、文字通り命を賭けて患者に対応している。

国際支援は資金面だけでは十分とは言えない。感染症・災害援助専門家の提供が可能な国は、すぐに実行することが望まれる。医療・疫学専門家の投入を拡大し、エボラ検査の対応力・能力の強化を図る必要がある。検査サンプルや感染の疑われる患者を安全に運ぶための救急車やヘリコプターの投入、埋葬時の感染リスクをなくすために必要な物資の提供も不可欠だ。また、流行地域における国際NGOの活動拡大も望まれる。

活動能力の限界に達する人道援助団体

MSFはエボラ対策に全力を注いでいる。2014年3月の流行発生から、ギニア、シエラレオネ、リベリアの3ヵ国で計1086人が患者の急増に対応してきた。MSFの最優先事項は感染者への治療提供であり、エボラ対策の経験豊かなスタッフをすべて投入している。

流行地となっている3ヵ国はいずれも数々の紛争を経験し、現在も復興途上にある。基礎的な保健医療ニーズへの対応にも悪戦苦闘する状況だったが、そこへエボラの流行と混乱が加わってしまった。人口10万人あたりの医師数は、シエラレオネが2人、リベリアが1人。西アフリカ諸国の平均26人を大きく下回る。ちなみに、日本は238人(2012年、厚労省調べ)だ。

医療体制の危機で2次被害の恐れも

リベリアとシエラレオネでは、多くの保健医療施設が閉鎖されたり、無人となったりしている。エボラ感染を恐れる人びとは、一般的な病気の診療にも訪れない。保健医療従事者の感染・死亡が報告されていることもあり、医療施設への出勤を拒む人も多い。もともと、マラリアや母子保健・産科医療の対策で手一杯だった保健医療システムが、エボラの流行で崩壊の危機に直面している。

流行国の病院や診療所が業務を継続し、医療ニーズに応え続けられるように、WHOには保健医療従事者の総合的な支援拡大の調整・推進が求められる。当該国の保健医療体制が機能しなくなれば、エボラ出血熱以外の病気や健康問題で亡くなる人の激増という深刻な2次被害が生じかねない。

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