ナイジェリア:鉱山開発による鉛公害、政府は解決を急げ

2012年05月14日掲載

国境なき医師団(MSF)は、ナイジェリア・ザムファラ州の鉛中毒危機の解決を話し合う国際会議を開き、ナイジェリア政府に対して解決を促すための行動計画を承認した。一方、政府側からは鉱業・環境・衛生の各分野を所管する大臣が出席せず、解決に向けた具体策も示されなかった。

金の産地であるザムファラ州では、鉱石を粉砕して金を抽出している。その粉塵には多量の鉛が含まれており、人びとの健康がむしばまれる原因となっている。特に、幼い子どもたちは重症になりやすく、死に至る場合もある。また、成人も長期にわたる健康上の問題を抱える恐れがある。

報告書「ナイジェリア:金採掘で鉛中毒の危機」(英語)

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対策資金の投入を第一に

多量の鉛を含んだ鉱石の加工場で働く子どもたち(バゲガ村) 多量の鉛を含んだ鉱石の加工場で働く子どもたち(バゲガ村)

同会議では、ザムファラの危機解決に必要な3本柱達成への工程を設定した行動計画についても合意した。鉛中毒の治療、環境浄化、鉱業の安全性の確立だ。計画達成には、連邦・州両政府の所管大臣が連携する必要がある。

鉛公害の解決策として、資金85億ナイラ(540万ドル)の資金投入が公約されている。これは環境浄化と安全な採鉱・精錬工程を導入することを目的としているが、実施が何ヵ月も遅れている。その間にもザムファラ州では数千人の子どもが急性鉛中毒に苦しめられ続けているのだ。これ以上遅れることなく、資金投入を進めなければならない。

公約の実行は行動計画の優先事項である。同様に、鉛中毒を患っている推定1500人の子どもが住むバゲガ村の即時浄化も重要だ。浄化作業が行われていない場所では有効な治療を行うことができない。MSFは、もっとも重症の子どもをアンカ病院へ移送し、病院内でMSFが運営している施設に入院させている。

ザムファラ州でのプログラム・コーディネーターであるザカリア・ムワティア看護師は「村民は助けを切望しています。人びとのなかには、MSFが治療を提供できるようになることを期待して、自力で住居を浄化しようとしている人もいます」と話す。

環境工学を専門としているテラ・グラフィックス社のシンバ・ティリマ氏は「鉛中毒を断つには、専門知識と専用の機材が必要です。バゲガの子どもたちに安全な環境を用意するために、緊急援助が必要です」と指摘している。

MSFのナイジェリアでの活動責任者であるアイヴァン・ゲイトンは「これまで実に多くのことが話し合われてきましたが、いまは行動するときです。MSFは、中毒にかかったすべての子どもが安全な環境に住み、治療を受けられるようになって初めて、今回の会議が成功だったと言えるでしょう」と話している。

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