南スーダン: 避難生活の長期化にコレラ流行の危機

2014年08月04日掲載

コレラに感染した孫娘(3歳)に付き添う祖母(58歳) コレラに感染した孫娘(3歳)に付き添う祖母(58歳)

南スーダンでは、2013年末から紛争が激化した影響で、今も大勢の人びとが自宅を離れ、国内避難民キャンプに滞在している。また、2012年以降に急増した隣国スーダンからの難民も、その多くがキャンプにとどまっている。難民・国内避難民キャンプは、人口過密で衛生環境が悪く、コレラなどの感染症にかかるリスクが高い。

国境なき医師団(MSF)が上ナイル州で治療したコレラ患者は、2014年7月上旬時点で904人。MSFは州内のマラカルとワウ・シルクの2ヵ所にコレラ治療センター(CTC)を設置し、流行地域の患者の治療にあたっている。

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3週間で19人亡くなる緊急事態——上ナイル州

夫が感染し、子どもの面倒を見ながら看病にあたる妻 夫が感染し、子どもの面倒を見ながら看病にあたる妻

南スーダンでのMSF医療チーム緊急対応担当であるリャノス・オルティスは「コレラは治療できる病気ですが、早期に診療を受けないと場合によっては命にかかわります。重度の脱水症を引き起こし、数時間で死に至ることもあるのです」と話す。

MSFの援助開始後、わずか3週間で19人が亡くなった。人道的観点から早急に対策を立て、取り組みを強化するレベルとなっている。人びとの窮状は2013年12月に始まった国内紛争でさらに悪化している。

各地のキャンプの人口が過密になっていることで、一部の人は、コレラ拡大の温床になりやすい劣悪な環境の避難民キャンプや、民間人保護キャンプへの退避を余儀なくされている。

2014年4月以降に南スーダンで報告されたコレラ症例数は合計4765件。上ナイル州の19人を含む、109人が亡くなっている。MSFは、首都ジュバや東エクアトリア州の州都トリトなど、さまざまな場所にCTCを設置。ジュバの医学校附属病院の給排水・衛生活動も支援している。

飲用水・衛生設備の確保が急務

雨で冠水した国内避難民キャンプ 雨で冠水した国内避難民キャンプ

清潔で安全な飲用水の不足は周辺地域全体の問題だ。推計人口5万人のワウ・シルクに避難している人びとは、衛生対策の施されていない地表水の利用を強いられている。トイレの数も極端に不足しており、排泄物が垂れ流し状態になっている。

現地は雨期で、豪雨が続く。雨で排泄物が飲用水の水源に流れ込むと、コレラなどの感染症が広がる原因となってしまう。現地で活動中の援助機関・団体は、トイレの増設や衛生水準の維持といった支援を通じて感染を防ぐ努力を続けている。

MSFは上ナイル州での活動を強化し、コレラ対策を支援している。保健省職員や他団体とともに、コレラの原因、感染の広がり方、予防方法について住民に周知を図っている。しかし、医療体制は不安定で、病気が広がりやすい状況になっている。対策の強化には現場の人員増が不可欠だ。

栄養失調・マラリアにも目配りを

2013年末の国内紛争の勃発以来、上ナイル州では、州都マラカルをはじめ各地が激しい暴力に見舞われた。人びとは州内の情勢不安におびえ、医療機関に足を運ぶことをためらっている。治安回復と、安心して医療を受けられる環境の保証が紛争の全当事者に求められる。

上ナイル州では食糧危機と栄養失調も広がっている。その結果、人びとの免疫系は衰え、コレラなどの感染症にかかりやすくなっている。MSFは7月29日までに、マラカル、ワウ・シルク、コドク、ルルの栄養治療プログラムに患者計3195人を受け入れた。そのうち大半が子どもだった。雨期は農作物の端境期にあたり、食糧確保が難しい。また、間もなくマラリアなどの季節的な流行が起こることも予想される。

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