結核マニフェスト:元患者のフメザさん、WHO総会で演説

2014年05月20日掲載

WHO総会に出席しているフメザさん WHO総会に出席しているフメザさん

国境なき医師団(MSF)のもとで、薬剤耐性結核(DR-TB)の中でも最も症状の重い超多剤耐性結核の治療を受け、2013年に完治したフメザ・ティジールさん(南アフリカ共和国出身)が、スイス・ジュネーブで開かれている世界保健機関の第67回年次総会に出席。DR-TBの治療環境の改善を求める「結核マニフェスト」と世界各地から寄せられた署名を提出し、各国から集まった保健衛生の指導者たちに協力を呼びかけた。

総会では「2015年以降の結核予防・ケア・制御のための世界戦略と目標」が議題の1つとなっている。フメザさん並びにMSFは、DR-TBへの具体的な取り組みが開始されるように働きかけを続けている。

薬剤耐性結核による死亡者数、1年以内に削減を——MSFがWHO総会で請願提出

薬剤耐性結核の治療改善に行動を!——フメザさんのスピーチ

治療を受けていた当時(2011年)聴覚障害など深刻な副作用を経験した 治療を受けていた当時(2011年)
聴覚障害など深刻な副作用を経験した

フメザ・ティジール(南アフリカ共和国出身)と申します。2010年に通常の結核と診断されましたが、その時点で既に超多剤耐性結核にかかっていました。完治までの道のりはつらいものでした。しかし!私は乗り越えたのです。

2013年、担当医と私は「Test Me, Treat Me(検査して、治療して)」と題した「結核マニフェスト」を起草しました。そのマニフェストを本日、世界の保健分野の指導的立場にある皆さまにお渡しいたします。

薬剤耐性結核(DR-TB)について私が味わったことを、もう誰にも味わわせたくないのです。治療薬だけに目を向けてみてもまさに悪夢でした。副作用の聴力障害は、生活を一変させてしまいます。

入院中に病院で友達になった人たちの多くが亡くなりました。薬が効かなかったこと、または、1日20錠の薬を最長2年間飲み続ける治療とその副作用に耐えられず、治療をやめてしまったことが原因です。

私たちはこうした治療環境の改善を願っています。より効果的で、毒性のない薬を臨みます。

私は一個人としてここに参加しているのではありません。この病気に苦しんでいる世界中の人びとの代表として来ています。「結核マニフェスト」には5万人以上もの方々がご支持をくださっています。各国の担当大臣の皆さま、マニフェストの3ヵ条の実現に向けた行動をお願い申し上げます。

第1は、迅速で適切な診断と、病院ではなく自宅近くで受けられる治療の普及です。DR-TB感染者が、適宜、治療を受けられる環境が必要です。

フメザさんは2013年、MSFの担当医とともに「結核マニフェスト」の活動を開始した フメザさんは2013年、MSFの担当医とともに
「結核マニフェスト」の活動を開始した

第2は、治療効果の向上、身体的・経済的負担の減少、および治療期間の短期化です。より確実な治療のため、新薬の開発が必要です。人の命がかかっています。これ以上、待ち続けることはできません。DR-TBの治療法の改善は、今、必要なのです。

第3は、DR-TBの診断・治療の普及と、治療法・その他のイノベーションについての研究・開発費用にあてる財源の確保です。

力を合わせれば、結核の治療は可能でしょう。そのためには戦略だけでは足りません。行動・実践が必要なのです。皆さまが意欲的な目標を掲げられたことに感銘を受けています。さらに、DR-TBの治療環境に変化をもたらす行動もお願い申し上げます。

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