シリアで爆撃激化 さらに45万人が避難 水も食糧も医療も足りない

2019年08月13日掲載

シリアで爆撃が激しくなり、戦闘を避けてここ3ヶ月で新たに45万人が避難生活を送り始めた。シリア北部にあるイドリブ県の南部地域と、隣り合うハマー県の北部地域で、死傷者は数千人にのぼる。

©MSF©MSF

国境なき医師団(MSF)が支援する複数の病院で、ここ数週間、一度に10人を超える負傷者が運び込まれるようなケースが相次いでいる。今月初め、空爆後48時間に35人超の患者を受け入れた病院もあった。1週間に50人の患者の手当てに追われた病院もあった。

医療機関を攻撃

シリア政府と同盟勢力は4月下旬、「停戦監視区域(de-escalation zone)」内にあるイドリブ県南部とハマー県北部を攻撃し始めた。医療機関、学校、市場、避難民キャンプといった民間インフラも攻撃され、損壊している。ここ数週間は、MSFが支援する病院が爆撃で損壊したほか、他の複数の支援先医療機関も、何度も診療中断に追い込まれた。

こうした地域にある病院の院長は「患者、介助者、病院職員はみな精神的に辛い状況です」と打ち明ける。「飛行機が病院の上を飛ぶと、恐怖でいっぱいになります。攻撃を恐れて、建物外へ避難する人たちもいます。病院から全員退避しなければならないことも少なくありません。飛行機が頭上を飛び交い、日に何度もシェルター室に逃げ込まなければいけないこともあります。診療を中断しなくてはならなくても、なんとか救急処置室だけは開けておく努力を続けています。この辺りの複数の病院は、数万人の地域医療を担っているんです。何か起きたときに備え、ここに踏みとどまらなくてはなりません」  

金沢市の人口規模が避難

すでにイドリブ県内には国内避難民数十万人が暮らしていた。今回戦闘が激化し、さらに45万人が自宅を追われた。日本でいうと石川県金沢市の全人口の規模だ。

新たに避難を強いられた人たちの大半は、イドリブ県内の人口が密集する地域に逃げ込み、テントやオリーブの木の下で寝食している。食糧も水も医療も足りない。 

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こうして新たに避難した人たちに対して、MSFは救援物資や飲み水を配布している。 

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既存の避難民キャンプや、新たに出現した避難民エリアに、トイレも設置している。 

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だが、もっと大規模な支援が必要だ。シリアのオペレーション・マネジャーを務めるロレーナ・ビルバオは「現在、数十万人の避難者が劣悪な環境で暮らしています」と話す。「こうした仮設キャンプの多くは人口過密で、インフラが整っておらず、不衛生で、病気が流行する恐れがあります。清潔な水を飲めなければ、下痢と水媒介性疾患にかかる患者が増えるでしょう。これでは、すでに危機的な状況が、さらに悪化してしまいます」 

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MSFはイドリブ県内の移動診療を拡大。医薬品、応急処置キット、外科キットを医療施設に送ったり、地域の搬送体制を支援したりするなど、医療機関への援助に力をいれる。MSFは、攻撃によって、避難せざるをえなかったり、負傷したりした人たちに対し、生きるために欠かせない人道援助を続けていく。 

©MSF MSFの移動診療所で予防接種を受けたファティマちゃん©MSF MSFの移動診療所で予防接種を受けたファティマちゃん

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