2度のサイクロンが直撃したモザンビーク 広い範囲で被害 コレラ感染も懸念

2019年05月09日

ケネスの被害を受けた学校 © MSFケネスの被害を受けた学校 © MSF

4月25日、モザンビーク北部のカーボ・デルガード州に、サイクロン「ケネス」が上陸した。モザンビークは、1ヵ月前の3月上旬にも、別のサイクロン「イダイ」が直撃。大きな被害を出したばかり。カーボ・デルガード州では、ケネスによって広い範囲で大きな被害が出た。雨も降り続いており、広域が冠水するなどしている。

州都ペンバ市・カリアコ地区の住民、カルリトス・リミアさんは「何もかも失いました。豪雨で壊れた家は建て替えなければならないし、どこから手をつければよいかも分かりません」と嘆く。

「今は家族の家に避難しています。他にもたくさん、この家に避難していて、身動きもままなりません」

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ケネスにより根があらわになった木 © MSFケネスにより根があらわになった木 © MSF

国境なき医師団(MSF)は、イダイへの緊急対応をしていたが、今回のケネスを受けて、複数のチームがカーボ・デルガード州に移動。もともとMSFは、2019年2月からペンバで給排水・衛生活動をしていたので、緊急対応チームがこのチームに加わり、州内数ヵ所で活動をスタートさせた。この合同チームは簡易調査を開始し、ケネスによる被害を受けた複数の地域で、被害規模と内容を確認している。だが、冠水被害や橋の損壊などの交通面の制約があるため、一部地域は現地入りが難しくなっている。

救援物資をおろしている国境なき医師団のスタッフ © MSF救援物資をおろしている国境なき医師団のスタッフ © MSF

5月2日には、国の保健当局によって、コレラの流行宣言が出された。ペンバ市では、25人のコレラ患者が報告されたほか、ペンバ市の南にあるメクフィ地区でも、5人のコレラ患者が報告されている。MSFはペンバ市で、保健省を支援。テント、給排水・衛生機器など、コレラ治療センター(CTC)で使用する物資を提供している。コレラ対応の準備も進めているほか、現地医療体制を支援している。当局は、コレラの集団予防接種を予定している。

「MSFはテントと医療機器を提供し、仮設コレラ治療ユニット(CTU)を建てて、どの治療ユニットでも10~15床程度の患者さんは受け入れられるようにしていきます」と、MSFのプロジェクト・コーディネーター、ダニエル・ボルジュは話す。

「重病患者の命を救い、コレラの流行も封じ込めます。病気になった人は隔離し、治療して回復に導く必要があります。また、人びとが汚染された水の使用を止めるよう徹底し、病気の予防に全力をあげていきます」

上空から撮影したカーボ・デルガード州。広い範囲で街が浸水しているのが分かる © MSF上空から撮影したカーボ・デルガード州。広い範囲で街が浸水しているのが分かる © MSF

ペンバ市の北に位置するマコミア町では、現地の診療所が大きな被害を受けたため、今は稼働していない。MSFは、損壊した建物の外にテントを張り、外来診療と産科診療を提供。地域の医療ニーズに応えている。診療所は今後再建を予定している。

ダニエルは、「短期間に2つもサイクロンが来たので被害は甚大です。復興し始めたばかりのモザンビークには、大きな痛手です」と話している。 

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