夫は処刑され、村も襲撃された 妻や子の避難先では食べ物もない

2018年09月05日掲載

国境なき医師団のスタッフが、援助物資を運んでいる様子国境なき医師団のスタッフが、援助物資を運んでいる様子

2018年7月27日、複数の反政府武装勢力がマリ東部の村を襲撃した。多数の村人が80キロ離れた別の村に徒歩で避難し、避難生活を送っている。

襲撃されたのは、アンソンゴ地区の村タンダンバウェン。襲撃により、村人数人が殺害され、約80世帯の家族が、80キロ離れた村タン・アマに避難した。

「村人によると、武装勢力がなだれこみ、家に火をつけ、住民の男性たちを処刑したそうです。安全を求めて周辺の村に逃げるしかなかったそうです」と、MSFプロジェクト・コーディネーター、ロドリーグ・ンガナボイは話す。避難者によると、女性や子ども、高齢者らは80キロも歩き、ようやくタン・アマにたどり着いた。

「村に到着した時、誰もが疲れきっていました。旅の途中で、水も食べ物も底をついたとのことです」

国境なき医師団(MSF)は、タン・アマにチームを派遣。避難者援助に向けて、避難者が必要としているものを調査している。

「当初、避難者たちの生活環境はひどいものでした。水も食べ物も足りず、日用品や衛生用品を持っている人もいませんでした。避難所などもないので、外気から身を守る方法がありません。また、予防接種を受けた子どもは全くおらず、妊娠中の女性も全く診察を受けていません」

調査を受け、MSFは7月30日、避難者への診療を始めた。

MSFとマリ保健省は、97人の子どもに対し、はしかなどの予防接種をした。「避難者の間で病気が流行するのを防ぐため、真っ先に子どもへの集団予防接種をしました。子どもの免疫力を高め、危険な病気から守ることができます」とロドリーグは話す。

またMSF心理ケアチームは、100人以上の避難者に心のケアを実施した。避難者は今回の襲撃に大きなショックを受け、村に帰りたくないという。

「個別に心理ケアを受けたある女性3人は、夫たちが襲撃者によって処刑されたときの様子を話してくれました。夫たちは連れて行かれた先で一ヵ所に集められ、その場で殺されたといいます」 

避難してきた村人の様子避難してきた村人の様子

衣料品や蚊帳などの生活必需品を含む救援物資も配布したが、食料不足は今も深刻だ。避難先の地元住民から寄付された食料を除くと、避難者が口にできるものはほとんどない。

「避難者は地元住民が寄付する食料でどうにか過ごしています。ですが、彼らはこうした支援を長くは続けられません」とロドリーグ。食糧援助がなければ、避難者は栄養失調になってしまうような状況だ。 

マリでの活動概況

国境なき医師団(MSF)はマリで、産科や小児診療の態勢を拡充している。キダル州、ガオ州アンソンゴ、シカソ州クティアラ、モプティ州テネンク、ドゥエンザで活動する。

アンソンゴでは、2012年から町立病院の診療科を支援。外来、救急、外科、産科、小児科診療などの他、性暴力などの暴力の被害者に対し、心理ケアなどもしている。MSFは地元住民を地域の診療所に紹介するほか、重症者は地域の大きな病院に移送している。遊牧民が移動する7~12月には、地域保健担当者向けの研修を開催。遊牧民も医療が受けられるようにしている。 

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