西日本豪雨:広島県呉市の避難所で医療援助活動

2018年07月13日

避難所で活動するMSFの渥美智晶医師避難所で活動するMSFの渥美智晶医師

国境なき医師団(MSF)は7月10~13日、西日本の豪雨被害に対応した。現地に2つの調査チームを被災地に派遣して、どのような緊急医療援助が必要なのか見極めつつ、避難者への一般診療をした。内閣府などによると、1万人が避難所に残り、死者183人、行方不明者38人となっている(7月12日現在)。2つのチームは、それぞれ医師やロジスティシャンで構成。チームは、最も深刻な被害を受けた広島・愛媛県内の7つの自治体を視察した。派遣した3日間で、行政関係者や他の医療援助団体と連携して、被災状況と医療ニーズの把握に努めた。

現地での活動状況

愛媛県に赴いたチームは、行政と医療援助団体が被災者支援に十分に対応しており、MSFが対応すべき医療ニーズはないと判断した。

一方の広島県に赴いたチームは、呉市安浦町の仮設避難所を訪問。7月11~13日に、MSFの渥美智晶医師が同所で寝泊りしている被災者を診察した。既往症を患っていたり、被災した自宅の復旧・清掃作業の最中にけがを負ったりした人が多かった。MSFは日本薬剤師会による移動薬局と連携した。

MSFの松本卓朗調査チームリーダーは、「被災者は誰もが泥をかき出す作業に懸命で、傷を負っても、治療に行くことをためらっていました。そうした被災者の方たちを診察しました。地元医師も多くが被災したため、医院の復旧で手一杯で診療まで手が回っていませんでした。そうした医療の空白時期に、役に立ててよかったです」と話す。

7月12日からは、呉市安浦町中畑地区での移動診療もスタート。道路の通行止めが続いていたが、MSFは医療団体として初めて現地入りすることができた。チームは、地元被災者を診察した。その後はMSFの活動を必要とするニーズはなく、現地の医療体制で対応可能と判断した。そのためMSFは7月13日、安浦町での診療を日本赤十字社に引き継いだ。

松本調査チームリーダーは、「広範囲にわたる凄まじい被害を目し、とてもショックを受けました。被災者の方たちが、普段の生活を取り戻すには時間がかかると思います。被災者のご苦労を思うと、本当に胸が痛みます。被災地の復旧・復興には、今後も多くの方々の助けを必要としていることを忘れてはいけません」と話した。

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