はしかの流行宣言 予防接種で子どもの命を守りたい

2019年02月27日掲載

MSFの医師の診察を受ける子ども。© Bérengère Guais/MSFMSFの医師の診察を受ける子ども。© Bérengère Guais/MSF

コンゴ民主共和国(以下、コンゴ)南東部旧カタンガ州で、はしかが流行している。対応にあたる、国境なき医師団(MSF)の緊急対応責任者のナタリー・ロバート医師に、はしか流行の課題などについて聞いた。 

高まる医療ニーズ

「2018年3月に、はしかの流行宣言が出されました。かつては旧カタンガ州と呼ばれていた、オー・カタンガ州、オー・ロマミ州、ルアラバ州 、タンガニーカ州内の各地の保健区域です。その年に流行が広がり、12月には4州内にある全ての保健区域で宣言が出されました。この4州では、以前から多くの小児科ニーズがありました。ちょうどスペインと同じくらいの地域に村が点在しており、人びとが住んでいます」

中でも、オー・ロマミ州では、5歳未満の子どもの死亡率が高い地域もあるという。へき地では、医療を受けたこともない子どもの存在も指摘されており、子どもへの医療援助のニーズが高まっている。 

広い地域で流行

はしかの予防接種のためのワクチンを準備するスタッフら。© Bérengère Guais/MSF

はしかの予防接種のためのワクチンを準備するスタッフら。© Bérengère Guais/MSF

「はしか流行は、予防接種を受けた人の数が少ない場所で起こります。住民を守るためには、予防接種を受けた人の割合が、90~95%、理想としては100%に達している必要があります」

「はしか症例が報告されたら、すぐに予防接種をします。子どもをはしか感染から守ることで、この病気が広がらないようにしようとしています。集団予防接種は大きな効果をもたらしているので、流行が始まったばかりの地域を対象として選んでいます。今、予防接種しているルアラバ州は、そうした場所です。ただこの方法も、すでに流行している地域では、やらないこともあります」

「数ヵ月以上にわたってはしかが大流行した地域では、集団予防接種が最適な対応であるとは限りません。はしか症例の生物学的な確認は、国内唯一の検査所のある首都キンシャサでするため、時間がかかります。流行の早期発見すら難しいのです」

「それとは別に、ワクチンなどの物資を遠隔地に届けなければならず、とても時間がかかります。地域が既に、はしかがまん延していた場合、集団予防接種だけでは十分な効果はありません。ワクチンは、はしかにかかった子どもの治療薬ではないからです。しかし、こうした地域での治療を集中してするとなれば、病気の子たちを見つけ次第、治療していくことも可能です。広い地域ではしかが流行していたとしても、病気になった子どもたちを治療することで、命を救うことはできます」 

命を奪われる子どもたち

急性の栄養失調となり、治療をうける、はしかにかかった子ども。© Bérengère Guais/MSF急性の栄養失調となり、治療をうける、はしかにかかった子ども。© Bérengère Guais/MSF

「はしかに感染すると、子どもは重い病気になりやすくなります。例えば、重い栄養失調や呼吸器感染といったものです。この地域の子どもたちは、マラリアにもよくかかっています。へき地に住む子どもも、普通に基礎医療を受けられるようにするというのはとても難しく、病気が進行してから病院に来る原因となっています。医療を受けたこともなく、全く予防接種を受けたことがない子どもは、かなりの数になるのではないかと考えています」

地元住民によると、5歳未満の子どもの死亡率は、オー・ロマミ州の決まった地域で極めて高いという。しかし、亡くなった子どものことが、必ずしも報告されるとは限らない。

予防接種でいのちを守る

移動診療での活動の様子。© Bérengère Guais/MSF移動診療での活動の様子。© Bérengère Guais/MSF

「MSFは3月にオー・カタンガ州での対応を始めました。3~9月にかけて、23万人を超える子どもたちに予防接種したほか、3000人以上のはしか患者を治療しました。その後は、はしかが大流行している保健区域を中心に、特にオー・ロマミ州に、かなりの資金と人材を投じています。 2018年12月から現在まで、現地保健省職員と連携して、重度のはしかになった393人の子どもを地域の病院で治療したほか、中等度から軽症までの患者約3000人を診療所で治療しています。オー・ロマミ州マレンバ・ンクル保健区域では、6万人以上の子どもに、はしかの予防接種をした。今後も、他の地域でも予防接種をしていきます」

「優先しているのは、移動診療です。はしかの流行地域に行き、はしかになった子どもたちを治療するとともに、予防接種を受けていない子ども全員に接種を受けさせます。でも、ロジスティック面では大きな壁があります。地域には、舗装された道路もないため、移動するのはとても大変です。特に雨期が大変です。何ヵ所かを訪れようとすると、4WDの車であっても何日もかかります。遠い場所に行くときは、バイクやカヌーを使わなければいけません。一度にたくさんの医薬品、ワクチン、栄養治療食を運ぶことが難しいです」 

物資も電気も不足している現実

船などを使って医薬品などを活動地に届けるMSFのスタッフ。© Bérengère Guais/MSF

船などを使って医薬品などを活動地に届けるMSFのスタッフ。© Bérengère Guais/MSF

「2011年以来、旧カタンガ州では、はしかの大流行が2~3年に1回に起きています。保健省も私たちと同じ壁に直面しています。輸送の難しさから、保健区域では、物資不足しています。電力不足もあります。ワクチンの保管に使う冷蔵庫用の電気が足りません。地域の住民の所にたどり着くまでも、とても大変です。多くの場所で、定期的な予防接種の接種率が低く、流行も繰り返し起きています」

MSFは定期的に、緊急のはしかの集団予防接種をしてきた。今後も、問題解決のために、さまざまな新しい対策に取り組んでいく。 

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