絶対にウイルスを外へ出さない! エボラ治療の現場で感染予防を担うスタッフの決意

2018年12月04日

エボラ治療センターで徹底した感染予防を指導する © MSFエボラ治療センターで徹底した感染予防を指導する © MSF

 「エボラ治療センターの高リスク区画に初めて足を踏み入れたとき、ものすごく怖かったのを良く覚えています」

ギニア出身のアルファ・ディアロは語る。2014年に西アフリカでエボラ出血熱が大流行したとき、彼は国境なき医師団(MSF)のエボラ対応プロジェクトで活動した。そして今、コンゴ民主共和国(以下、コンゴ)のエボラ治療センターで、給排水・衛生活動の専門家として働いている。コンゴは今、この国で最大の流行に見舞われている。 

感染を防ぐのが私の仕事

MSFの給排水・衛生活動専門家、アルファ・ディアロ © MSFMSFの給排水・衛生活動専門家、アルファ・ディアロ © MSF

2011年からMSFに参加し、当時はギニアの首都コナクリにある産科・小児病院で働いていました。2014年3月半ば、ギニアでエボラ出血熱の流行宣言が出され、私は、コナクリとマセンタ県のエボラ・プロジェクトで働きだしました。この時はまだ流行のごく初期で、エボラ治療センターで働く際に守るべきルールや防護について学びました。 

マンギナのエボラ治療センター 入念な消毒・除染を頻繁に行う © Karin Huster/MSFマンギナのエボラ治療センター 入念な消毒・除染を頻繁に行う © Karin Huster/MSF

私が担当する給排水と衛生管理は、エボラの流行でとても重要な役割を果たします。医療チームを多くの場面でサポートし、互いに切っても切れない存在でしょう。感染予防と制御を担い、治療センターへの出入り、特に出ていくときは、人も物も、全てウイルスに汚染されていない状態にします。正確に、綿密に行われなければ、エボラ治療センターはあっという間に新たな感染源となってしまいます。私の仕事は感染の連鎖を断つこと。不幸にも、エボラとの闘いに破れて亡くなった方を、感染源にならないように除染して埋葬しなければならないこともよくあります。 

恐怖を押しのけて

高リスク区画に入る前には、肌が一切出ないよう防護服を完璧に着用する © Carl Theunis/MSF高リスク区画に入る前には、肌が一切出ないよう防護服を完璧に着用する © Carl Theunis/MSF

エボラ治療センターの高リスク区画に初めて入ったときのことを、今もよく覚えています。高リスク区画に入るのが、少しでも後になるように避けていました。ある日、その時がやってきました。長い1日の終わりにロジスティシャンと一緒に高リスク区画へ行って電灯を代えることになっていたのです。

私が緊張してためらっているのに気づき、彼は「電灯を代えないと、夜間に治療を受けられなくなって死ぬ人も出てくるかもしれない」と言いました。そのとき分かったんです。恐怖は押しのけなければならないと。高リスク区画に入るとすぐ、恐怖は消えました。今では、高リスク区画に入るときに着る黄色と白の防護服にもすっかり慣れました。 

厳しい態度で感染予防を徹底する

焼却を含め、廃棄物の処理も衛生管理者の重要な仕事だ © Carl Theunis/MSF焼却を含め、廃棄物の処理も衛生管理者の重要な仕事だ © Carl Theunis/MSF

 今、私はマンギナのエボラ治療センターで毎日、同僚の指導にあたっています。感染を防ぐための全ての手順がきちんと行われ、基準を満たすようにしています。ここにいる全員が感染予防と制御を重要なこととして捉え、注意して全てが100%安全に行われることで、私は自分の役割を果たしています。

エボラ治療センターでは、何か間違いがあれば謝罪の手紙を送ればいい、というわけにはいきません。エボラはそれでは済まないのです。私は厳しくて単刀直入にものを言うので、時にはショックを受ける同僚もいます。それだけ、エボラ対応ではミスがないように注意します。注意深く、きちんとした手順を踏んでいないと、次の流行を起こしてしまう可能性もあるからです。

治療センター内の服・靴・エプロンなどは徹底的に洗浄、除染される © Carl Theunis/MSF治療センター内の服・靴・エプロンなどは徹底的に洗浄、除染される © Carl Theunis/MSF

今回のエボラ流行は、終息には程遠い状況です。今のところ、住民はエボラ対応にあまり積極的ではないようです。それも理解できます。ギニアで流行したときも、終息近くになるまで不信感がありました。ただ、ギニアでは公共の場と民間交通機関にはすべて、手洗い場が備えられ、タクシーも手洗い用のアルコール・ジェルを備え付けていました。住民は誰もが、こうした予防措置が必要だと知っていたんです。エボラがいかに危険かよく理解されたことで、行動の変化が起こっていたのです。

私は、助けが必要であればいつでもどこへでも行くつもりです。今、コンゴにいるのはそれが理由です。必要な場所であればどこでも、命を救う手助けをしていくつもりです。
 

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