ザンデールで、重度の栄養失調の子どもが増加

2005年08月30日掲載

国境なき医師団(MSF)がニジェール第二の都市、ザンデールで活動を開始してからおよそ1ヵ月が経過したが、この国を襲う食糧危機の犠牲となり、MSFの治療を必要とする子どもの数は増え続けている。

MSFは、ザンデール市内の1ヵ所に集中栄養治療センター、市内外の6ヵ所に通院治療センターを開設している。7月21日以降、すでに1,500人を超える子どもがこれらのセンターで登録を受け、治療を開始した。毎日、新たに数十人の衰弱した子どもが登録を受け、すぐに医療チームの診療を受けている。

■ミルクとプランピー・ナッツ -効果的な組み合わせ-


マラディの集中栄養治療センターに
入院している4才の女の子。左手に
持ったプランピー・ナッツを食べている。

ミルクとプランピー・ナッツ(栄養強化ピーナッツペースト、1袋92g、500kcal)を集中的に摂取することで、子どもたちは短期間で体重を取り戻すことができる。子どもたちのほとんどは、座った姿勢を維持する体力がないため、母親にもたれかかって、指やスプーンで与えられる食べ物を、弱った胃まで何とか送り込もうとする。集中治療はまず、栄養強化ミルク「F100」を1日に8回取ることから始まる。その数日後、子どもの回復状態に応じてミルクを1日3回に減らし、代わりにプランピー・ナッツ3袋を与える。プランピー・ナッツは毎食すべて残さず食なければならない。治療をきちんと続けられない子どもは回復できず、感染や疾病にかかりやすいままの状態が続いてしまう。

■集中栄養治療センター -衛生への挑戦-

センターには、子どもと付き添いの母親が合わせて1,000人近く滞在しており、清掃チームはセンター内の衛生状態に常に注意を払っている。夜が明けて、母親たちが涼を求めて、日向より少しはましな木陰に落ち着くと、滞在用テントにバケツとモップが運び込まれ、塩素入りの消毒水が樹脂加工された床にまかれる。清掃チームは数時間にわたってテントからテントを回って掃除をし、病院に不可欠な清潔さを取り戻そうとする。センターのトイレや洗濯場、踏み固められた土の広場などの共同スペースも清掃が必要だ。子どもたちは痛みを伴う下痢を我慢できずにもらしてしまい、それが様々な感染症を広める原因になることがあるからだ。

■集中栄養治療センター内の張り詰めた空気

センター内の集中治療科には、毎日15人ほどの子どもが新たに入院してくる。MSFの医師と看護師は子どもの死亡率を下げようと取り組んでいる。ここに入院してくるのは、栄養失調により免疫力が低下し、体力をさらに奪う別の病気を併発してしまった、最も症状の深刻な子どもたちだ。ニジェール人の医療従事者の補助を受けて、MSFのボランティアは、瀕死の子どもたちの状態を何時間も監視・診察し、水分を補給し、注射をし、食事を与える。栄養失調と併発する病気としては、貧血、マラリア、呼吸器感染症、重度のあるいは出血性の下痢などが多く、体力を激しく消耗させる。集中治療科は、収容可能な人数を超えて常に60人以上の患者を抱えており、空気は張り詰めている。ここではチームの必死の努力にも関わらず、毎日2、3人の子どもが死を迎える。命を落とす子どもたちには、たんぱく質の極度の不足から肌に浮腫が現れる、クワシオルコルというもっとも重度の栄養失調を示す症状が出ていることが多い。

■中学・高校の建物が臨時治療センターに

ザンデールの集中栄養治療センターに隣接した中学・高校の建物2棟が、市長の合意の下、集中治療科の拡張に充てられることになった。校長のママン・マラム氏は、休暇中で使われていない建物の一部を迷うことなくMSFのチームに提供した。この特別な取り計らいにより、患児の療養に必要な静けさを確保できることとなった。しかし新学期が近いため、今度は入院中の子どもたちを、センターの敷地内に建設中の半仮設施設に新たに移動させなければならない。MSFの医療活動を支えるロジスティシャンたちの仕事が、さらに増えることとなる。

■ザンデール市の周辺地域でも、苦しみは続く

ザンデールの南東45キロにあるグナ村の公立保健センターは、食糧はまったくないにもかかわらず、子どもの命を救う食べ物がもらえるかもしれないと期待した母親たちが多くやって来る。半年前に赴任し、センターを管理しているママン・ヌーリ・ムッサ看護師は、今年は特別だと言う。「皆、食べるものがほとんどないのです。3、4回ゆでで苦みを除いた木の葉に、塩をかけて食べる人もいます。雑穀も底をつき、市場で売っている米は高すぎて、手が出ません。」50kg入りの米袋の値段は、数ヵ月で1万4千CFAフラン(約3千円、1米ドル≒500CFAフラン)から2万CFAフラン(約4,400円)まで値上りした。MSFの栄養治療を受けさせるために子どもを連れて来る母親たちは、グナから10キロも離れた村々からもやって来る。保健センターでは、受付料だけで子どもは500CFAフラン(約100円)、大人は1,000CFAフラン(約200円)かかるため、母親たちがやって来ることはほとんどない。収入のわずかな農家の人々には、この料金は高すぎるのだ。栄養失調の患者の診療は、食事についてのアドバイスに留まり、もともと栄養状態の悪い農村地帯の人々には全く役に立たない。

MSFは、2001年からニジェールで栄養失調の治療プログラムを行っている。2005年4月以降は、食糧危機が深刻であることを広く訴えてきた。これまでに、マラディ、タウア、ザンデールの3県で、7つの集中栄養治療センター、34の通院治療センターを開設し、2万人を超える子どもを治療している。現在この活動に、100人以上の外国人派遣ボランティアと750人以上のニジェール人スタッフが従事している。

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