ハイチ:大地震から1年、国境なき医師団(MSF)が報告書を発表

2011年01月11日掲載

12日で大地震から1年を迎えるハイチでは、復興が進まずいまだ多くの人びとが避難所で生活している。
12日で大地震から1年を迎えるハイチでは、復興が進まず
いまだ多くの人びとが避難所で生活している。

2010年1月に中南米の島国ハイチを襲い、22万人以上の命と約150万人の人びとの住居を奪ったマグニチュード7.0の大地震から12日で1年になる。国境なき医師団(MSF)は、報告書「ハイチ:大地震から1年」を発表し、震災直後から展開した大規模な医療・人道援助活動や、コレラ感染が拡大するなか劣悪な環境での生活を余儀なくされた被災者たちの現状を報告しているほか、入院が必要な患者に対する医療ケアの不足など今後の課題についても数字を用いて詳しく説明している。

ハイチでは、地震発生直後に比べて基礎的な医療を受ける機会は改善されたものの、2010年10月以降にはコレラが急速にハイチ全土へと広がり、国際援助の対応限度を超える緊急事態が発生している。

MSFは2010年末までに、民間の支援者から寄せられた寄付のうち、約1.04億ユーロ(約111億円)を地震被災者とコレラ患者への緊急援助に使用した。2010年1月12日から10月31日までに、35万8千人を超す人びとを治療しており、1万6500件以上の手術と1万5000件を超える分娩介助を実施している。

地震発生直後の3ヵ月間では、単独の援助団体で最大規模となる5700件以上の外科手術を提供した。2010年10月に流行が確認されたコレラでは、2011年1月までに、17万1300人と報告されている総感染者数の半数以上にあたる9万1000人以上を治療している。

MSFのハイチにおける2011年運営予算は、4600万ユーロ(約49億円)で、MSFが首都で運営している6つの病院と、保健省の運営する2つの病院の支援に充てられる。2011年には首都で3つの病院が新設される予定であり、そのうちの一つは、震災後から仮設病院で行われている、やけどに特化した治療に提供される予定である。

首都以外では、レオガンで新設された120床規模の総合病院を運営する予定である。ハイチにおけるMSFの医療援助活動では、産科、緊急医療と外科治療が優先課題となっている。

またMSFは、すべての国際機関と民間団体に対し、当初ハイチの人びとと寄付者へ表明していた支援策を、ただちに実施するよう呼びかけている。

病気の集団発生を抑止して人びとの健康を守るためには、飲料水や廃棄物などの衛生管理を徹底し、いまだテントで生活している100万人近くの被災者たちを、仮設住宅へ入居させることが急務である。

ハイチにおけるMSFの活動責任者ステファノ・ザンニーニは次のように語る。
「当初、地震で壊滅状態に陥ったハイチに対して、世界中の人びとが支援金を寄せ、国際機関や各種団体も、ハイチの早期復興に向けた支援策を表明していました。しかし、悲しいことに現在、被災者らは感染症のまん延する非常に不安定な状態のなか、生活の立て直しを余儀なくされています。コレラのように感染予防が可能な病気で3600人を超える命が失われているのです」

MSFのハイチにおける地震被災者とコレラ患者への緊急援助は、団体の歴史の中で最大規模となっている。

MSFインターナショナルの会長、ウンニ・カルナカラ医師はこう語る。
「ハイチ大地震から1年を迎える今、昨年内には満たせなかった被災者のニーズと、ハイチの人びとを救うために寄付金を寄せて下さった世界中の支援者からの付託に、いっそう思いをはせることが大切であると考えています。寄付を通じて温かい援助の手を差し伸べてくださった民間の支援者の皆様や、近しい人びとを地震で失ったにもかかわらず、献身的に緊急援助活動に従事した現地スタッフたちと共に、MSFは寄せられた活動資金をハイチでの援助活動の維持と向上、そして将来起こりうる緊急事態への対応に使用する予定です」

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