アフリカ・エイズ会議:WHOがクリプトコッカス髄膜炎の治療指針を初めて発表 ——HIV感染者の日和見感染症の主な死因の一方で、治療薬の入手が大きな課題

2011年12月09日掲載

世界保健機関(WHO)はHIV感染者の日和見感染症の中でも主な死因を占めるクリプトコッカス髄膜炎*の治療ガイドラインを、初めて発表した。しかし、WHOが推奨する治療薬の一部は、途上国では入手困難か、全く出回っていない状況である。

*クリプトコッカス髄膜炎:真菌が脳に感染して起こり、治療しなければ死に至る病気。


ケニアのホマベイ地区では、エイズ患者の多くがクリプトコックス髄膜炎を発症している。
ケニアのホマベイ地区では、エイズ患者の多くがクリプトコッ
カス髄膜炎を発症している。

国境なき医師団(MSF)はエチオピア・アディスアベバで開催中の第16回アフリカ地域HIV/エイズ・性感染症国際会議(ICASA)で、クリプトコッカス髄膜炎がアフリカの多くの地域でHIV陽性患者の日和見感染症であり、主な死因となっている研究結果を発表した。MSFによるこの研究結果は、2002年から2010年にかけてアフリカ、アジア、東欧でMSFが行う合計25のHIV/エイズ治療プログラムにおいて、抗レトロウイルス薬(ARV)治療を開始した3万6664人の死亡原因の調査に基づいたものである。この調査では、肺外クリプトコッカス髄膜炎に感染したエイズ患者は、ARV治療の開始後6ヵ月以内に死亡するリスクがそれ以外の患者と比べて3.5倍高い結果が判明し、これはHIV/エイズの日和見感染症による死因の中で最も高かった。

今回の研究に携わったMSFのHIV/エイズ顧問、ダニエル・オブライエン医師は話す。 「MSFが実施した研究結果から、HIVとともに生きる人びとの中にはクリプトコッカス髄膜炎を発症し、命を落としている人が多いことが明らかになりました。この病気を早期に診断する方法と、治療法についてようやく明確なガイドラインができたことは、じつによい知らせです。ただ、治療薬の入手には大きな課題が残ります」

WHOはクリプトコッカス髄膜炎の主な第一選択薬として、アムホテリシンBとフルシトシンを推奨しており、これらの第一選択薬がないか入手困難なほど高価な場合には、アムホテリシンBとフルコナゾールを推奨している。サハラ以南アフリカ諸国はHIV/エイズの罹患率が最も高い地域だが、フルシトシンはそのほとんどで未登録であることから入手方法が限られている。アムホテリシンBは薬の登録における障壁が存在し、現在世界的にこの薬が不足していることから、南アフリカを含めた国々は今年在庫切れに直面する恐れがあるとみられている。南アフリカのクワズル・ナタール州ではアムホテリシンBを投与された患者は全体の35%にとどまり、推奨されている2週間の治療計画にそって投与を受けていた患者はその8%に過ぎなかったことが研究によって明らかになっている。

オブライエン医師は話す。
「HIV/エイズに的確に取り組めるか否かは、エイズによる死を最終的に引き起こす日和見感染症の予防・診断・治療・治癒がどれだけできるかにかかってきます」