今日も世界では、絶え間なく続く武力紛争に巻き込まれて傷つき、緊急の医療を必要としている人びとがいます。
命をつなぎ止めるには、一刻の猶予もありません。
私たち国境なき医師団の活動を、どうか支えてください。
紛争地で傷ついているのは、
何の罪もない一般市民たち。
医療を必要とする人がいる限り、
そこに向かわなくてはならない。
国境なき医師団 看護師 白川優子
派遣回数は18回に上る
シリアやイエメン、アフガニスタンなどでの医療活動に奔走してきたスタッフ3人が、
紛争地での活動の難しさややりがいを語ります。
イエメンに同時期に派遣されたとき、1日に23件の手術をやり抜いた日がありましたね。緊急!緊急!!で、帝王切開も2件くらい入って。
朝から夜中まで、最高記録の日でした。
日本では外科医が帝王切開は行わないですよね?
行わないです。国境なき医師団では外科医が産婦人科を担当することもあると聞いたので、普段日本で働いている病院では、派遣前に産婦人科に在籍させてもらいました。
私たちは外科チームだけれど、紛争地では地域の医療機関がほぼ機能していないから、内科や産婦人科だろうと関係なく診なくてはいけないんですよね。
しかもほとんどの患者さんは待ったなしで来るので、帝王切開も何でも「とにかく、やるしかない」という感じでした。
日本と比べると、紛争地での活動では考えられないこともたくさんありますね。
交通事故で重傷を負ってうまく呼吸ができない患者さんが運ばれてきたときも、唯一の治療は人口呼吸器をずっとつけ続けることなんですが、その人工呼吸器が一つしかなくて……。
要はその患者さんが独占することができない。
代わりに手動で行う方法もあったけれど、永遠にはできない。結局、現実的ではないということで、最後は、心臓が止まるのをただずっと見ていた……。
私が担当した手術でも、同じ状況になったことがありました。 日本だったら助けられたかもしれない命を、医療機器が足りないがために諦めなくてはいけないというのは、非常につらいことでした。
日本にいると周りには「どうして行くの?」って、必ず聞かれますね。
幸い日本には私の代わりになる麻酔科医がいるけれど、活動地には私が行かないと助からない命があるから。おこがましいかな?
現場に行くと、紛争地だとか関係なく、目の前の命を助けることにただ集中する。医者として、純粋にやりがいを感じるんです。
医療が足りていないからそこへ向かうし、同じ思いを持った仲間もいる。 それが一番大きなモチベーションですね。
紛争地は医療体制が不十分で、国境なき医師団の病院が地域で機能している唯一の医療施設という場合も。
私たちは、負傷した人びとの救急外科医療のほかにも、予防接種や産科などの基礎医療を提供したり、恐怖や悲しみで心に深い傷を負った人びとに心のケアを行っています。
また、紛争地での活動において安全確保は欠かせない要素です。特に近年は、医療自体が攻撃の対象となることも。国境なき医師団は、必ず紛争当事者を含む関係者に活動の意図を話し、患者さんやスタッフの安全を確保した上で活動しています。
国境なき医師団の施設では武器の持ち込みを禁止し、
安全確保をはかっている。
・アフガニスタン ・イラク ・イエメン ・コンゴ民主共和国 ・シリア ・スーダン ・ソマリア ・パレスチナ ・ボスニア・ヘルツェゴビナ ・南スーダンなど
世界約90の国と地域※で、医療・人道援助活動を行う民間・非営利の国際団体です。
1971年にフランスで設立され、1999年にはノーベル平和賞を受賞しました。
※2020年実績
活動資金が民間の寄付に支えられているおかげで、いかなる権力や政治にも影響されることなく、「独立・中立・公平」の原則を堅持し、医療を届けることができています。
たとえ他の団体が介入をためらうような場所でも、医療が必要とされているなら、私たちはそこへ駆けつける。その源が、皆さまからのご寄付です。