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多くの命を救うために。
調査で、活動をより本質的なものにする |
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2018年末に、バングラデシュのロヒンギャ難民キャンプで疫学調査をした時のことです。なぜか新生児の死亡率だけ、同国内の平均と比べて2倍以上高いことが判明しました。キャンプ全体の死亡率は改善していたにも関わらず、です。
キャンプの母親と赤ちゃんは、妊娠中の間も出産後もずっと家にいて、検診を受けていません。低温に弱い新生児にとって、家の環境は良くない。家族が何らかの感染症にかかっている可能性もあります。また水と衛生の状態もひどく、劣悪な環境への対策が急務であることも、この調査で明らかになりました。
新生児は病院へ運ばれることなく亡くなっているので、病院施設内での活動だけではその実態を知ることができません。そこで疫学調査です。医師が病院に来られる患者さんを診る一方で、疫学専門家はその地域全体を対象とし、コミュニティの中に入っていくことで、病院の中からは見えない問題を明らかにしてデータで示します。さらには、客観的なデータを用いてその地域で何をすべきか優先順位を見出し、活動をより本質的なものにすることが役割だと言えます。 |
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