国境なき医師団
 
新型コロナウイルスの感染拡大で、
活動にはどんな困難・葛藤が?
日本人スタッフの声をお届けします
バングラデシュ・コックスバザール県の難民キャンプは、約100万人が暮らす世界最大のキャンプともいわれる(2019年6月撮影)
日頃より、国境なき医師団(MSF)にご関心をお寄せくださり、誠にありがとうございます。
MSFの活動は、新型コロナウイルスの影響でさまざまな課題に直面しています。今回は、最前線で活動した日本人スタッフ3人が、それぞれ経験した現場での困難・葛藤をお伝えします。


「医療用酸素が足りない事態に。
スタッフのトレーニングも急務でした」
落合厚彦(プロジェクト・コーディネーター)
2019年9月~2020年7月、イエメンで活動


4月以降、新型コロナウイルスの感染者が増えたイエメンで、MSFは保健省と連携して治療センターを開設しました。私は南部のイッブ県の施設の立ち上げ・統括を担当。日々、課題は尽きませんでした。 感染を恐れて治療センターで働くことを怖がる医療従事者が多く、人集めに苦労した上、やっと集まったスタッフは経験が不十分でトレーニングやサポートが必要でした。また入院患者のための医療用酸素が不足し、受け入れを増やせなかったことにも悩まされました。
紛争の影響で、イエメンではもともと圧倒的に医療が不足しています。国際社会全体で支えていく必要があることを忘れてはいけません。

酸素ボンベは1本約70キロ近くあり、集中治療室まで人力で運んでいる。
約30本で5~6人の1日分の酸素をまかなえる
イエメンでの落合の活動の様子はこちら⇒【動画】酸素ボンベが足りない!新型コロナウイルス治療施設、日本人スタッフの葛藤


「マスクが、ワクチンが、ガソリンが手に入らない!」
小坂真理子(ロジスティシャン)
2019年12月~2020年8月、チャドで活動


世界最貧国の一つと言われるチャドで、MSFはマラリアやはしか、栄養失調に対応しています。私は活動に必要な物資の輸入や購入、在庫管理などを担いましたが、新型コロナウイルスの感染拡大で、それらが大打撃を受けました。輸送制限によって、はしかのワクチンやガソリンなど、あらゆる物の入手が難しくなったのです。どれも命を守る活動に欠かせない物ばかり。現地の業者に交渉するなど、必死に対応しました。
特にマスク不足は顕著でした。そこで、「ないなら作るしかない!」と地元の仕立屋に発注することに。結果、スタッフや患者さんに必要な量を何とか準備することができました。

アフリカの伝統的な布を使い、製造したマスク。「マスク向きの厚さの布を探すにも苦労しました」と小坂
小坂の活動エピソードをもっと読む⇒「ないなら作るしかない!」最貧国でのマスク調達、日本人スタッフが語るMSFの機動力


「医師が来られず、病棟が一時閉鎖。患者さんの落胆する姿が忘れられません」
鈴木美奈(産婦人科医)
2020年1~6月、ナイジェリアで活動


私が活動したナイジェリア北部の産科病棟には、毎月、1000人近くの女性が入院しています。また、お産のときのさまざまなトラブルで膣に穴が開き、膣から尿や便が漏れてしまうフィスチュラという病気の人も多く、専用病棟を設けて治療を行っています。しかしロックダウンが施行され、移動制限によって現地スタッフが病院に通えなくなりました。一時は、私ともう1人の医師が、24時間交代で手術や治療を続けました。また、フィスチュラ専用病棟も一時閉鎖せざるを得ない状況に。手術を待ち望んでいた女性たちの落胆する姿が忘れられません。私の帰国後の7月、無事に病棟が再開したと聞き、ほっとしています。
ここでの活動に参加するのは、今回で4回目。回数を追うたび、多くの患者さんに治療を届けられるようになってきています。全て皆さまからのご支援のおかげだと、いつも感じています。

手術に臨む鈴木。もともと派遣期間は6週間の予定だったが、医師不足を補うため、4カ月延期して活動に当たった


スタッフが現地へ向かい、
活動できるのは、
皆さまのご支援があるからこそ。
どうか、これからも私たちの活動を支えてください。
任意の金額をその都度寄付する
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毎月、決まった額を寄付する
今回の寄付をする
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既に「毎月の寄付」にご参加いただいている方には重ねてのご案内となり、失礼いたします。国境なき医師団に対する継続的なご支援に、心より感謝申し上げます。
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