国境なき医師団
 
この度の豪雨により被災された皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。被災地の一日も早い復旧をお祈りいたします。

医療が圧倒的に不足する紛争地にて
イエメン、新型コロナウイルス感染症対応
救急車から患者をおろす、MSFの救急チーム(2020年6月、アデンにて)
日頃より、国境なき医師団(MSF)にご支援・ご関心をお寄せくださり、ありがとうございます。
MSFが活動している医療体制のぜい弱な地域では、新型コロナウイルス感染症への対応と同時に、通常の活動を維持することが大きな課題となっています。今回は、さまざまな困難に直面している活動地の中から、以前より医療の足りていなかったイエメンをご紹介します。


内戦、医療崩壊に追い打ちをかける感染症
アラビア半島の南端に位置する、イエメン
2015年に始まった内戦により、イエメンではいまでも362万人(※1)が避難を強いられています。人びとは身を守るために住み慣れた故郷を追われ、時には家族と離れ離れになって生活をしています。
戦況が悪化し、いまや2400万人の国民が人道援助を必要としていると言われる中、MSFはイエメンに2007年以来常駐して医療を届け続けています。主な活動は、紛争による負傷者の治療、はしかやコレラの治療などです。
2018年には、同国だけで約53万件の外来診療、約2万4000件の外科手術などを実施しました。その活動費は年間5700万ユーロ(約68億円)と、新型コロナウイルス感染症の流行前から、大規模に活動を展開しています。
そして、内戦下ですでに崩壊していた医療体制に、感染症対策という課題が加わり、同国では通常の医療を提供することもままならないという状況が発生しています。
※1国連難民高等弁務官事務所調べ

死なずに済むはずの人びとが……

国内避難民キャンプには、2015年の内戦勃発時から複数の土地を転々としてきた家族も
(2019年4月、アムラン州ハミール)
長年の内戦によって医療体制が崩壊していますが、新型コロナウイルス感染症がそこへ追い打ちをかけました。物資や人手不足、ウイルスへの恐怖から多くの病院が閉鎖してしまいました。
「新型コロナウイルス感染症だけでなく、その他の病気で人びとが命を落とすことを懸念しています。治療を受ければ、本来なら助かるはずの人びとがいるのです」と、イエメンの活動責任者、クレア・ハ・ズオンは話します。
イエメンで、公式に確認された新型コロナウイルスの感染者数は1520人、死者数は430人(※2)と、流行は小規模に見えるかもしれません。しかし、政府による埋葬統計から、自宅で発症し、そのまま自宅で死亡している人が多いとMSFは見ています。
※2 2020年7月15日時点、世界保健機関発表

感染拡大、多くが手遅れの状態で受診

医療活動マネジャーのジャラン
首都サナアにてMSFが支援している、新型コロナウイルス感染症治療のメインとなる治療センターでは、15床の集中治療室が数週間埋まった状態が続いています。
「救急救命室まで自力で歩けていた人が、あっという間に酸素不足に陥り急変して亡くなることに、衝撃を受けています」。サナアの治療センターに勤務する、ニザール・ジャラン医師はそう話します。
人びとの受診が遅れているため、治療センターに着いたときは手の施しようのない状態のことが多いのです。

物資の不足、困難を抱えての活動

コレラ治療センターで回復した子ども。MSFは予防の指導も実施。
内戦下では、栄養失調や衛生環境の悪化などによって、感染症のリスクが高まる
(2020年2月、イッブ県)
内戦による国境閉鎖に加えて、防護服やマスクの世界的需要の高まりから物資の確保が難しくなり、活動環境は以前より厳しさを増しています。マスクやフェイスシールドも現地で自己生産せざるを得ない状況です。そのような中で前述のジャラン医師も感染してしまいました。
幸いにも回復し、現在は治療センターへの復帰の準備をしながら、次のように語ります。「いままで以上に熱意が湧いているんだ。感染して、この病気のつらさが分かった。そして患者さんがどれだけ医療を必要としているかが身に染みたから」
MSFのスタッフ自身、内戦の爆撃や物資不足、感染への恐怖など、さまざまな困難や葛藤を抱えながらも、現地の医療を絶やさないために活動を続けています。



MSFは、人道危機の中を生きる人びとへの
既存の活動の維持を目指しながら、
新たな感染症への対応をしています。

どうか、力をお貸しください。
今回の寄付をする
国境なき医師団への寄付は税制優遇措置(寄付金控除)の対象となります。
新型コロナウイルス感染症への対応に使途を指定した寄付をご希望の方は、今回の寄付受付入力画面の支援対象に「新型コロナウイルス感染症危機対応募金」を選択してください。



世界各地でも活動中 ~活動ニュースの紹介~
ブラジル:7月15日時点で累計約188万人の感染が確認されたブラジル。流行の波は富裕層から貧困層へと広がっている。MSFは治療センターの開設準備を進め、ホームレス、スラム街住民、先住民など、医療を受ける機会のない人びとを支援している。

インド:感染症が急速に拡大し、7月15日時点で累計約93万人の感染が確認されたインド。MSFはビハール州にて仮設病棟を開設し、入院治療や健康教育などを実施している。
※ 感染者数は2020年7月15日時点、世界保健機関発表
その他、世界各地での活動ニュース一覧はこちらからご覧いただけます


ご寄付で、できること

3,000円で
医療用防護マスク12枚を提供できます。
5,000円で
医療用フェイスシールド3点を提供できます。
10,000円で
医療用防護ゴーグル6点を提供できます。
※上記は寄付でできることの一例です。外国為替レートの変動に加え、新型コロナウイルスの感染拡大により医療用防護具や医療物資の市場価格は大きく変動しています。上記で、頂いた寄付でできることの例として表示している物資の金額(日本円)は、国境なき医師団がこれらを購入する際に支払う価格と差異が生じる場合があります。


命を救う医療活動の維持のため
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※「新型コロナウイルス感染症危機対応募金」は、MSFが世界各地で行う新型コロナウイルス感染症の緊急援助活動と感染症拡大の影響に伴うその他の援助活動に割りあてられます。この活動に必要な資金を上回る寄付が寄せられた場合は、その他の緊急援助活動にあてられます。また、活動状況に応じて予算額や募金目標額の変更、資金調達状況に応じて本募金の受付を予告なく終了する場合があります。

特定非営利活動法人 国境なき医師団日本
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