海外派遣スタッフの声

イラクのプログラムを隣国から遠隔サポート: 吉田貴康

ポジション
薬剤師
派遣国
ヨルダン
活動地域
アンマン(イラクの活動サポート)
派遣期間
2010年5月~2010年11月

なぜ国境なき医師団(MSF)の海外派遣に参加したのですか?

念願のMSF初派遣。外科チームとともに。

他の団体で活動した経験から国際協力のあり方や疑問を感じて勉強する過程で、NGOによる活動に興味を持ったことや、ある大学でのオープンセミナーが偶然にもMSFの活動についての話で医療支援に興味を持ったことなどが理由です。また、世界で何が起きているのか、テレビなどを通してではなく、ダイレクトにまた見てみたいと思ったことです。

今までどのような仕事をしていたのですか? また、どのような経験が海外派遣で活かせましたか?

MR(医薬情報担当者):3.5年、青年海外協力隊:理数科教師2年、愛・地球博万博職員:0.5年、病院薬剤師:4年です。

うまく調整して、結果に結びつけていくこと。アフリカでの活動経験。NGOの人たちとの意見交流。医療知識。それ以外にもいままで出会った人がくれたモチベーションやスキル。すべてのことが力になり支えとなりました。

今回参加した海外派遣はどのようなプログラムですか?また、具体的にどのような業務をしていたのですか?

活動はイラクの隣国ヨルダンの首都アンマンからの遠隔サポート。イラク各都市で自爆テロなどによってひどいやけど、骨折、また体の一部をなくしたりした重傷の方々をアンマンの病院に搬送して、整形・形成手術、心理ケアを提供してイラクに帰すことが目的でした。

通常、MSFは所定の医療物資を現地に輸送して使用しますが、ヨルダンの法律ではNGOの活動に制約が多く、MSFの活動では唯一、大部分の医療資材や薬品を現地で調達しています。その品質、量、価格などの管理が主な仕事でした。

週末や休暇はどのように過ごしましたか?

休暇で訪れたヨルダンの世界遺産ぺトラ遺跡。

ヨルダンの死海やペトラなどの遺跡、隣国シリア、レバノン観光。とてもお気に入りになったヨルダン料理をスタッフと食べに行ったり、その自宅を訪問したりしました。いま思えば、暇さえあれば現地スタッフといつも遊びに出かけていたような気がします。3ヵ月経った頃には久々に日本語を話したかったので、日本人会で趣味のテニスも楽しんでいました。

現地での住居環境についておしえてください。

治安の良い住宅地のマンションを借り上げ、派遣者3人で暮らしていました。電気、ガス完備で、生活用品、食品においても特に不自由はありませんでした。水は週1度の給水をタンクに貯めて使うため、その使い方には気を使いましたが、他の活動地に比べても無類の快適さだったかもしれません。

よかったこと・辛かったこと

NGO活動のさまざまな課題にも直面しましたが、その強みも知ることができて、どちらも有意義な経験でした。特に現地の方々から政治的状況、歴史、文化、宗教など一般のメディアからは得られない生(なま)の情報をもらい、その考えを話し合い、お互いの理解を深められたことにとても満足しています。

ちなみに、多国籍文化で困ったことは、ヨーロッパの人との挨拶のキス。頬を合わせてチュッ。まったく慣れません。さらにヨルダンでは男友達と手をつないで歩く。もちろん病院内でも。いつ手を離していいのか、握った方がいいのか。それが気になって仕事どころではありません。

派遣期間を終えて帰国後は?

大きな目標としてきたMSFに参加でき、100%ではないですがその経験に満足しています。いまは次の挑戦しがいのある目標を探しているところです。日本と世界をつなげる仕事や若い人が世界に出る後押しができたらと思っています。

今後海外派遣を希望する方々に一言アドバイス

数年前、他の団体で初めて海外で活動したとき、はじめは様々なことを日本と比べて現地では“こんなこともできない、‘普通’はこういうことはしないだろう”など悪いところばかり気になって現地スタッフと衝突したり、苦言を呈したりし苦しく感じることがありました。でも、現地で生活を続け、生活を見て、話して、文化に溶け込むにつれ、現地の環境において自分がいかに“普通”ではなく“無力”か気づくことになりました。日本とは違う、その国、その場所に合った技術、知識、行動があり、それを学ぶことが活動や生きていくことに非常に重要であることがわかりました。“相手の文化を尊重している”と言うことは簡単ですが、それを実際に感じる線があるように感じます。長期にわたるボランティア活動ではそれを越えられずに苦しむ人がたくさんいるように感じます。

その一方で、多国籍の現場では色々な考え方、価値観、情報や技術などがあります。他から学び、協調していることも大事ですが、時には正しいと思うことを、自分の力を信じて、考えを貫くことも必要です。迷った時、答えは現場にあるかもしれません。

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