海外派遣スタッフの声

長期プログラムで多岐にわたる業務に従事:田岡佳子

ポジション
正看護師
派遣国
マラウイ共和国
活動地域
チラズル地区
派遣期間
2008年7月~2009年1月

なぜMSFの海外派遣に参加したのですか?

マスメディアを通じて「国境なき医師団」を知り、以前からその行動指針と活動に興味を持っていました。そして国際医療協力の分野で働きたいと思い始めた頃、初めに頭に浮かんだのがMSFでした。人道援助で歴史と実績があること、中立性、公平性をもって活動していることに惹かれMSFで医療援助の経験を積みたいと思い、応募しました。また「決定が迅速でフレキシブル」というイメージのある海外のNGOというところにも魅力を感じました。

今までどのような仕事をしていたのですか? また、どのような経験が海外派遣で活かせましたか?

インドでボランティア活動に参加したことがきっかけとなり、OLから看護師に転身しました。今回入院病棟のマネージメントが主な仕事だったので、現地の病棟看護師と働く上で日本の病院勤務(一般内科病棟)で得た基本的な知識と看護技術はもちろん役立ちました。その他、研修で学んだ熱帯医学の一般知識や、東南アジアのクリニックでの熱帯病(マラリア・HIV/AIDS・結核など)の臨床経験も大変役立ちました。またマネージメントに関してはOL時代に見につけたパソコン操作や資料・プレゼン作成、営業経験等も役立ったのではないかと思っています。

今回参加した海外派遣はどのようなプログラムですか?また、具体的にどのような業務をしていたのですか?

看護長とトレーニング内容の打ち合わせ

MSFが長期にわたり活動しているHIV/AIDプログラムに参加しました。MSFは1996年にマラウイでHIV/AIDSプログラムを開始し、2001年からチラズル地区を拠点として政府と連携しながら抗HIV療法を行ってきました。フィールドは「病院」と「診療所」の2チームにわかれ活動しています。病院のHIV外来の患者数がキャパシティーを超えたこと、またより多くの住民が抗HIV療法にアクセスできるよう、近年MSFは診療所の整備に力をいれてきました。現在は10ヵ所の診療所とその中核となる国立チラズル病院が連携し治療を行っています。

私は病院チームに所属し、病棟の看護ケアの向上を目的として主に看護部長や師長と連携をとって活動を行いました。病棟にはHIV/AIDSに罹患していない患者さんもいましたので、基本的には一般的な看護ケアの課題について現地ナースと話し合い、改善していくことが中心となりました。特に力を入れて行ったのは「勤務表の管理」「重症患者のケア」「滅菌操作手技」でした。ミーティングやトレーニングの企画・実施、MSFドクターや現地のクリニカルオフィサーとの連携、病院の薬剤科とMSFの薬剤師の橋渡し、また病院の医療物品のロジスティック管理など業務は多岐にわたりました。

週末や休暇はどのように過ごしましたか?

基本的に土日は休みだったので、十分休息がとれました。また治安も良いため日中は1人で散歩に行くことも可能でした。土曜日は車で40分ほどのところにあるブランタイヤという大きな街に買い物や食事をしに行ったり、チラズル周辺をハイキングしたり、スタッフの誕生日パーティーを催すなど、気分転換ができるよう皆で色々企画しました。

3ヶ月後の休暇には、タンザニアのザンジバル島を訪れ、日本人女性が経営するバンガローで久しぶりの日本食を楽しみました。

現地での住居環境についておしえてください。

生活環境は恵まれていました。12名の外国人派遣スタッフが3軒の家に分かれて住み、私は1番大きい家で5人のスタッフと共同生活していました。コンクリートのしっかりした家で、一人一人個室をもらえ、ホットシャワーもあり、大変快適でした。治安が良い環境だったため、門のガードマンは庭師も兼ねており、庭も花やフルーツで一杯でした。1日1回ある数時間の停電と、乾期の水不足以外、全く不便はありませんでした。

食事については、マラウイは食材も豊富にあり、またMSFのアフリカプロジェクトで一、二の腕前と言われているコックさんが平日の朝・夕準備してくれたので、毎日の食事の時間は私の楽しみのひとつでした。

良かったこと・辛かったこと

マラリア患者とその家族であふれる小児病棟で
クリスマスプレゼントの配布

良かったこと

何より周りのスタッフに恵まれたことです。相談したり励ましあいながら仕事をすることができ、また休日も一緒に楽しむことができました。そして病院をはじめ、近所や道行く人々全てが穏やかで暖かく、マラウイという国が本当に好きになりました。また派遣スタッフの間で、このプロジェクトやMSFの援助方法についてよく議論が交わされ大変刺激になりました。

辛かったこと

大変だったことはコミュニケーションでしょうか。MSFのスタッフ間、病院のスタッフ間どちらにおいてもとにかくまめに、しつこいくらいフォローアップしないとことが進まなかったり、行き違いがあったり、情報が降りてこなかったりしました。しかしそのお陰で色々な部署のスタッフと関わりが持てましたが、反面時々自分は自分のタスク以上のことに介入しているのではと反省することもありました。

また、日本の病院とは比べものにならないくらい多くの患者さんが毎日亡くなっていきます。マラリアシーズンは特に小児の患者さんの死亡が多く、無力感に駆られ落ち込むこともありました。

派遣期間を終えて帰国後は?

現在今後のことを検討中ですが、機会があれば再びMSFの活動に参加したいと思っています。

今後海外派遣を希望する方々に一言アドバイス

私はMSFに登録時、看護師というポジションでまだ海外で活動した経験がありませんでした。登録はできたものの、実際MSFが活動している主な国は日本とは疾患や医療環境も違うアフリカや東南アジアで、日本の臨床経験だけでは知識も経験も足りないと感じていました。そこで熱帯医学の研修に参加したり、東南アジアのクリニックでボランティアをするなど、自分なりに準備をしてきました。

フィールドで何が必要になるかは行ってみなければわかりませんが、これまでの経験や勉強はきっとどこかで役に立つことでしょう。そして派遣中にまた新たに自分に必要なことが見えてくると思います。

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