海外派遣スタッフの声

顧みられない病気への援助プログラムを立ち上げ: 萩原健

ポジション
ロジスティシャン
派遣国
インド
活動地域
ジャールカンド州
派遣期間
2009年11月~2010年9月

なぜ国境なき医師団(MSF)の海外派遣に参加したのですか?

自分を少しでも役立たせることのできる世界があれば、という思いで参加を続けています。

今までどのような仕事をしていたのですか? また、どのような経験が海外派遣で活かせましたか?

今回の派遣は、プログラムを立ち上げ、セットアップするために、事前準備や医療関係者の受け入れなどを行うというものでした。自分自身がビジネスをしていた頃に得た、海外でプログラムを立ち上げるために、取引先を開拓・評価・選定する段階から作業をした経験、また、MSFでの先の活動で得た病院運営の知識・経験が役に立ちました。

今回参加した海外派遣はどのようなプログラムですか?また、具体的にどのような業務をしていたのですか?

今回の業務は、インド北部ジャールカンド州サンタール地域でのカラアザール治療プログラムを開始するためのセットアップと、同州紛争地域での現地住民の医療施設へのアクセスにかかわる評価をすることに大別されます。

前者に関しては、ロジスティック面の計画全般の立案から実行まで、具体的には、物資供給ルート、移動ルートと緊急避難ルートおよびそれぞれの手段の確立、事務所・宿舎のセッティングなど。また、人事・労務、経理関係、現地保健省・警察・行政長との協議や交渉、他のNGOおよび国連機関とのミーティング、MSFの他のオペレーション支部とのミーティングなど多岐にわたりました。

同州内、一部森林地域では、毛派共産党武装集団と当局間で紛争が生じている地域があります。また、先住民と資本家との間の土地問題などもあり、状況を複雑にしています。その紛争地域の前線にいるであろう一般市民の状況にかかわる情報は、非常に限られていました。日本人のジャーナリストが現地に入ろうとして当局に拘束されるといった事件もあり、影響が懸念されましたが、情報収集など事前準備に十分な時間をかけたうえで現地での評価を遂行しました。

両者とも、日々、首都のコーディネーションチームとの緊密なやりとりが必要でした。医師団のプログラムでは例外的だと思われますが、首都のコーディネーションチームの中に当該フィールドを訪れたスタッフがいなかったため、ありとあらゆる情報を収集、分析し、首都でのミーティングにも毎回参加する必要がありました。

週末や休暇はどのように過ごしましたか?

当局関係者などとのミーティングをする必要が多々あり、インドの州は非常に広いので、週末は移動日にあてるといったスケジュールをとっていました。休暇はできるだけ静かなところに身を置いていました。

現地での住居環境についておしえてください。

プログラムの立ち上げで忙しく、1つの場所に腰を落ち着けることはありませんでした。結果として、日々住む場所を転々としながら、ある時はホテル、ある時は知り合ったNGOの事務所、ある時は教会や寺院、ある時は公営の宿舎などでした。ホテルといっても予算上の制約から、なかなか大変な環境でした。医師団で活動しているからには“衛生”には注意しなければならないのですが、“予算”というのも大きな要素なので、仕方ないと言えば仕方ないのかもしれません。

インドのビルは石づくりで、かつホテルの小さな部屋となると、夏場は蒸し風呂のようになります。10分おきに水浴びをするといった状態でした。それでも井戸水は豊富にあったので不足することはありませんでした。

よかったこと・辛かったこと

よき出会いがあったこと。
辛かったのは、既述のとおり、1つの場所に腰を落ち着かせることがなく、国内プログラムでありながら、約10ヵ月の間で10回以上の空路移動、陸での合計移動距離は2万キロ、ひと月で3000キロに及ぶこともあり、腰を落ち着かせるどころか、腰を痛めてしまいました。

派遣期間を終えて帰国後は?

しばらく“腰”を落ち着かせてから、次のプログラムへ行こうと思っています。

今後海外派遣を希望する方々に一言アドバイス

多国籍の混成チームでは、正論だからといって納得される世界ではありません。特にプログラムそのものにかかわる場合、コーディネーションチームと本部との調整にかなり労力を費やす必要が生じる場合があります。そんな状況でも、時には(よい意味で)うまく立ち回り、時には日本食でも振舞いながら、時には厳しく、正論を通すというのも、決して悪いことではありません。方法論は人それぞれ、ただし結果が伴わなければ、どんなに素晴らしい提案でも、ないに等しくなってしまいます。これは医療関係者、非医療関係者を問わず、あてはまることだと思います。結果に導くための柔軟性をもつように心がけるとよいかもしれません。

MSF派遣履歴

派遣期間
2008年6月~2008年12月
派遣国
ケニア・ナイロビ(マタレ地区)
ポジション
ロジスティシャン
派遣期間
2009年1月~2009年9月
派遣国
イエメン・サアダ州(アル・タール)
ポジション
ロジスティシャン/アドミニストレーター
派遣期間
2009年10月
派遣国
インドネシア・ジャカルタ
ポジション
ロジスティシャン

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