海外派遣スタッフの声

航空機の専門家として、人道援助活動を支える:李 亘

ポジション
フライト・コーディネーター
派遣国
南スーダン
活動地域
ジュバ
派遣期間
2017年7月〜2018年7月

なぜ国境なき医師団(MSF)の海外派遣に参加したのですか?

紛争地域での人道支援に関心がありました。アメリカのフライトスクールで勉強していた際、MSFで活動した経験があるクラスメートから勧められたのが応募のきっかけです。 

派遣までの間、どのように過ごしましたか?どのような準備をしましたか?

南スーダンでMSFが使用する飛行機の特性や、ジュバ空港の特徴などを勉強しました。また、前述のクラスメートが他機関の航空担当としてジュバに赴任していたため、生活情報などを教えてもらいました。 

今までどのような仕事をしてきましたか?また、どのような経験が海外派遣で生かせましたか?

Cessna 208 Grand Caravanという飛行機を使用Cessna 208 Grand Caravanという飛行機を使用

外資系航空会社で運航担当として勤務した後、ウガンダを拠点にアメリカ系航空事業会社で働きました。飛行機に関する知識、イレギュラー時の対応などに前職の経験が生かせました。また、私はインドの大学院を修了しているのですが、インドでの生活経験が南スーダンで大変役に立ちました。 

今回参加した海外派遣はどのようなプロジェクトですか?また、具体的にどのような業務をしていたのですか?

南スーダンのフライトチーム。MSFの飛行機と
運航するパイロット、現地スタッフと私南スーダンのフライトチーム。MSFの飛行機と
運航するパイロット、現地スタッフと私

首都ジュバのコーディネーション・チームで働いていました。私のポジションは”Inter-sectional”と呼ばれ、普段は独立して活動しているMSFのオペレーション・センター※の4つのセクション(OCP、 OCB、 OCG、 OCBA)と共に仕事をしていました。

私の担当は、3つのOCが共有している飛行機2機と、OCBが赤十字国際員会(ICRC)から週1回借りるヘリコプターに関する業務でした。具体的には、日々の運航に関する業務、航空局や空港当局との調整、飛行機を借りているケニアの会社とのやり取り、ICRCや国連といった他機関の航空機運航者との情報交換などでした。

チーム編成は、私を含む海外派遣スタッフのフライト・コーディネーター2人、現地スタッフのアシスタント1人、専属の運転手3人、飛行機に貨物を搭載してくれるスタッフが2人という内訳でした。

  • オペレーション・センター(OC)……世界各国のプログラムを運営管理し、チームを編成・派遣する組織。パリ(OCP)、ブリュッセル(OCB)、ジュネーブ(OCG)、バルセロナ(OCBA)、アムステルダム(OCA)の5セクションがある。

派遣先ではどんな勤務スケジュールでしたか?また、勤務外の時間はどのように過ごしましたか?

活動地に届ける医薬品や食料を飛行機に積み込む。
飛行機の重量制限と重心位置に注意活動地に届ける医薬品や食料を飛行機に積み込む。
飛行機の重量制限と重心位置に注意

フライトのある日は朝6時45分に宿舎を出発、7時ごろに空港に到着し、飛行機を出発させた後、9時ごろにオフィスに戻ります。メールの処理や翌日のフライトの準備などをした後、フィールドから帰ってくる飛行機を迎えに行きます。それからパイロットとデブリーフィングをし、オフィスに戻り、その日のフライトの記録を取ります。また、翌日のフライトの貨物をそれぞれのセクションの上屋へ取りに行ったり、必要書類を印刷したりします。ここまでできれば、その日の業務は終了です。だいたい、5時半ぐらいになっています。

さらに、何か問題や質問が入った際には、(普段運ばない危険品を輸送したいがどうすればいいか?初めての飛行場に飛びたいのだが?雨で飛行場がぬかるみ明日は着陸できない、など……)それぞれ対応する必要があり、退勤時間はもっと遅くなります。

土曜や日曜に仕事がある場合も多々ありましたが、勤務時間外には、ジュバで見つけたフランス語の先生のもとで勉強をしていました。料理もよく作っていました。 

現地での住居環境について教えてください。

各スタッフにエアコン、バストイレ付きの個室が与えられていました。OCPとOCBAのゲストハウス、2カ所に住みましたが、この点は両方同じでした。首都ということで、恵まれていたと思います。  

活動中、印象に残っていることを教えてください。

活動地には整備された空港や滑走路はなく
不整地に着陸する活動地には整備された空港や滑走路はなく
不整地に着陸する

今までMSFが活動してこなかった地域で新たにプロジェクトを始める場合、現地の調査を行います。フライトチームとしても、これまで着陸したことのない所へ飛行することになります。果たして目的地で安全に降りられるのか、降りた後に離陸できるのか、現地で飛行機を迎える人はいるのか、政府から着陸許可はもらえるのか……など多くの課題をクリアしなければなりません。さまざまなコネクションを使って現地の情報を集め、パイロットたちと打ち合わせを重ね、準備を進めます。

時間を要するプロセスですが、大抵このような調査をするのは、緊急援助が必要な場合です。一刻も早く医療活動を開始しなければならない一方、私は専門家として、飛行機の安全面については絶対に妥協できません。色々な問題をクリアした後に離陸する飛行機を見た時、「自分の仕事が人道援助活動の一助になれた」と実感できました。 

今後の展望は?

フランス語圏でのミッションに派遣が決まりました。語学力を鍛えるため、目下フランスで勉強中です。  

今後海外派遣を希望する方々に一言アドバイス

私の仕事は、MSFの中でもある種、特殊なものです。航空機の専門家は、採用ホームページには載っていません。しかしながら、首都のコーディネーションでは、人道支援専門家、広報担当、弁護士など、あまり知られていない分野の海外派遣スタッフも活動していました。何か異なる分野をご専門にされている方も、派遣のチャンスはあると思います。気になった方は、一度問い合わせてみてはいかがでしょうか。