海外派遣スタッフの声

人事、財務のアドミニストレーションをサポート:菅原由佳

ポジション
アドミニストレーター
派遣国
スーダン
活動地域
ハルツーム
派遣期間
2008年8月~2008年9月

なぜMSFの海外派遣に参加したのですか?

これが5回目の派遣になりますが、以前から国際援助の最前線を知りたいと思っていました。私は医療従事者ではないので、MSFに出会ったのは偶然でしたが、1回目の派遣後、MSFの理念と行動がかなり一貫していること、また国際人道援助の世界においてMSFがユニークな立場にあることを知り、それに惹かれて、参加を継続しました。

今までどのような仕事をしていたのですか? また、どのような経験が海外派遣で活かせましたか?

学生の頃、日本のNGOを通してパレスチナでボランティアをしたことがきっかけで、国際開発・人道援助の領域を知りました。大学卒業後はコミュニティー開発や貧困問題に取り組むつもりで、そのような分野で活躍するNGOで主にプロジェクト運営や評価に関する仕事をしたり、大学院に通うなどしました。海外でのNGOでの仕事は運営業務に関する経験や知識を得たという意味で、MSFの仕事にも役立ちましたが、大学院の学費をためるためにした、英会話の教師、法律事務所での秘書業務等もスタッフのトレーニングやアドミニストレーション一般の仕事内容に関わる部分があり、最終的には役に立っているように思います。

今回参加した海外派遣はどのようなプログラムですか?また、具体的にどのような業務をしていたのですか?

今回は、MSFの人事・財務コーディネーターの経験者ということで、初めてMSFに参加した人事・財務コーディネーターを短期間サポートする業務でした。会計や予算について大まかな通年業務の流れを説明したり、日々の仕事のやり方等、必要に応じてアドバイスをしたりしました。それに加えて、スーダン国内でのスタッフのリクルートをさらに活発にするために、これまでのリクルートメント業務を見直し、計画を立て直すことも目的のひとつでした。スーダン国内の医療従事者または医学部生にMSFをもっとよく知ってもらうために、ハルツームにある大学や病院を訪ねたり、ニュースレターを配布したりして宣伝しました。また、MSFによるプロジェクトのプレゼンテーションやセミナー開催の計画をたてたりもしました。

新しいスタッフのサポートとリクルートメント業務双方に共通して重要だと思われたことは、組織の記憶・業務の記憶をいかにきちんと、かつ使いやすいように残していくかということです。スタッフ、特に外国人スタッフで管理職にいる人の入れ替わりが激しいMSFのプログラムでは、情報の取り扱い方が一律ではない上に、過去の情報が失われたりうまく次につながらなかったりします。業務の記憶というのは、その時々の人材・財源と同じくらい重要なプログラムの財産ですが、現場の状況と必要性に合わせて流動的に変化する仕事場での情報管理というのは、当然のことのようでなかなか一筋縄ではいかない側面があります。

今回MSFフランスのスーダンでのプログラムに参加するのは3回目だったこともあり、ここ数年プログラムがどのように変遷してきたかということを多少覚えていたので、以前既に問題になっていたこと、それがどのような経緯で解決されたかなどを共有することで、現時点で生じている問題について議論する上での様々な材料を提供できたと思います。また、これまでMSFフランスで働いたスーダン人スタッフ1000人以上の簡単なデータベースを作ることで、過去の記憶を将来につなげる手助けができたと思っています。

この新しいデータベース以外にもスタッフに関する情報はこれまでにも勿論ありましたが、いくつかの違う様式(異なるソフトウェアや、ファイリングシステム)で、必ずしも日常的に使えるわけではありませんでした。それをまとめ、ひと目で職種や以前の経験がわかりようにつくりかえたことで、今後新たに必要な人材を探す場合の情報源にもなります。総務は地味な仕事ですが、MSFが効率的な医療援助を行うためのシステムを担う重要な役割を背負っています。

週末や休暇はどのように過ごしましたか?

ハルツームは大都市で、必要なものはほとんど手に入ります。週末はオムドルマン市場に買い物に行ったり、ナイル川のほとりにあるカフェに新鮮なフルーツジュースを飲みに行ったりしました。5~6月の暑さの盛りは過ぎていたものの十分暑く、プールに泳ぎにもいきました。週末は食事の用意を自分でするので、料理も楽しみの一つです。今回は、ちょうどオリンピックの時期で、同僚と一緒によく陸上種目を観ていました。

現地での住居環境についておしえてください。

ハルツームに今年から借りているというアパートは高層ビルで非常に綺麗でした。本格的なMSFミッションの住居が通常不衛生だというわけではありません。もっと簡素な住居やテントで暮らしたこともありましたが、ロジスティックスタッフのおかげで生活環境が不便だとか不衛生だと思ったことはありません。ただ、ちゃんと機能している水洗トイレと高層ビルは今回が初めてでした。。。食料品や日常雑貨も近くで手に入るので、日常生活だけみると長期滞在は可能な環境だと思いました。

良かったこと・辛かったこと

スーダンプログラムに3回も参加できたのは、とても興味深い体験でした。それぞれ場所は違いましたが(1回目は南スーダン、2回目はダルフール)、全体的なサポートをするハルツーム事務所でこれまでの経験を元に多少なりとも組織の記憶作りに関する仕事ができたことはとても良かったと思います。辛かったことは、ビザや渡航許可などがなかなか下りないことがあり何人もの外国人ボランティアがフィールドに行けず、ハルツームで足止めをくらっていたのを見ることでしょうか。それでなくても忙しいはずのフィールド事務所・病院にスタッフがたどり着けないのは、そこのチームにとっては打撃ですし、結局影響を受けるのは患者さんたちだからです。

派遣期間を終えて帰国後は?

引き続きMSFのアソシエーションの活動に会員として関わっていきます。仕事としては、少し方向転換して違う角度からも人道援助を見てみたいと思い、2009年からUNHCR (国連難民高等弁務官事務所)のケニア事務所に勤める予定です。避難民のうち、迫害がひどく自分の国に帰れない、もしくは避難してきた国にさえ留まれないような状況にある難民をアメリカやカナダ、オーストラリアといった難民受入国に受け入れてもらうまでの手続きをする仕事です。

今後海外派遣を希望する方々に一言アドバイス

特に人事や財務、プロジェクトコーディネーションの経験や興味のある方に、緊急事態における迅速な対応と独立性に重きをおくMSFの現場で働いてみることをお勧めします。私は国際協力をしたいと思ってNGOで働きはじめましたが、まさか緊急医療NGOにこんなに現場に近くやりがいのある非医療の仕事があるとは思いませんでした。実はMSFの外国人スタッフの3割は非医療従事者で、活動にはなくてはならない存在です。

人道援助という目的の元に、違った常識や文化をもつ人びとと文字通り国境を越えて共に働くことは、私にとって挑戦であると同時に楽しみでもあります。日常的に人間の多様性、難しさや優しさ、弱さと強さに驚かされるからです。それに最近、国際協力を仕事とする人びとが増えてきて、それをライフスタイルの一つと考えられるようになってきたことには励まされます。苦境にある人びとを人種や宗教、信条や政治的差別なしに支援するという価値観を、具体的な行動に移せる機会があり、世界中に仲間がいるということは、とても心強いことです。

MSF派遣履歴

派遣期間
2003年2月~2005年1月
派遣国・プログラム地域
南スーダン・ケニア北部(ロキチョギオ)
ポジション
アドミニストレーター(人事・財務)
派遣期間
2005年5月~2005年12月
派遣国・プログラム地域
シエラレオネ(フリータウン、ボー、ケネマ)
ポジション
アドミニストレーター(人事・財務)
派遣期間
2006年1月~2006年7月
派遣国・プログラム地域
インドネシア(ジャカルタ、アチェ州シグリ)
ポジション
アドミニストレーター(人事・財務)
派遣期間
2007年1月~2007年7月
派遣国・プログラム地域
スーダン・ダルフール(エルジャニーナ)
ポジション
財務コーディネーター

この職種の募集要項を見る