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サイトトップ > ニュース > 「若者は特に、心に傷を負いやすいのです」―心理療法士へのインタビュー―

「若者は特に、心に傷を負いやすいのです」―心理療法士へのインタビュー―

(2009.6.10)

カルメン・マルティネスは、国境なき医師団(MSF)の心理療法士である。コンゴ民主共和国の北キブ州でここ数ヵ月にわたって活動を続けてきたが、人道的状況の悪化に伴いMSFが活動を強化している、同国北東部のオー・ウエレ地方へと移動することになった。マルティネスは以下のインタビューで、戦争が人びとに与える心理的影響、特に若者たちに与える影響について語っている。

Q. 戦争が人びとに与える影響はどのようなものですか?

A. 戦争は心理的・感情的な影響をもたらすと同時に、人びとの生活にかかわる社会的な影響も引き起こします。人びとは恐怖に苛まれています。恐怖は誰もが経験する感情ですが、戦争中は常に恐怖につきまとわれます。また、不安感にも悩まされます。心に傷を残すような体験をしたせいで、ストレスへの対処が困難になることもあります。私が診察する患者の中には、経験したことのイメージが繰り返し現れる「フラッシュバック現象」を訴える人もいます。夜が怖い、悪夢にうなされる、ほんのわずかな音にも敏感に反応するなどの症状も出ています。皆、外出することをひどく恐れており、つらい経験を思い出させる可能性のある、あらゆる状況を避けています。また、原因不明の頭痛や身体症状に襲われることもあります。さらには、深い悲しみやうつ状態に陥っている人もいます。すべての希望を失くした時に現れる症状です。

Q. 十代の若者は戦争の中で生まれ、戦争以外を知りません。彼らはより傷つきやすいのでしょうか?

A. 戦争はあらゆる人に影響を及ぼします。しかし、幼年期と青年期は人格が形成される時期です。若者は、戦争のただ中で生きるという状況に対処することに、一層の困難を抱える可能性があります。たとえば、他者との交流が困難になったり、反社会的な傾向を示したり、非行に走ったりすることがあります。より内向的になる人もいます。こうした反応はすべて、私たち専門家が「防衛反応」と呼ぶ行動です。若者は一般的に、人付き合いにおいて問題を抱えやすく、心が傷つきやすいのですが、その一方で立ち直りも早いのです。私たち心理療法士が若者に対してできることは数多くあります。

Q. MSFの提供している心理的サポートはどのようなものですか?

A. ひとつ例を挙げましょう。私が活動した北キブ州の避難民キャンプでは、コミュニティに根ざしたアプローチを導入していました。対象のグループには、14才から20才ぐらいまでの、武装解除された元少年兵もいました。私たちは週に1度集まるグループを作りました。まずは互いを信頼できる雰囲気作りが必要でした。次に、グループの活動を定めました。グループのメンバーはサッカーチームを作ることを決め、それから年少の子どもたちといっしょにスポーツ活動を行うことを提案しました。また、収入を生む活動を行うアイデアも考え出しました。こうした活動の目的は、互いに支え合うための場所と仕組みを、彼ら自身で作り上げられるようにすることです。希望者に対しては、個別カウンセリングも行いました。

Q. あなた自身も、心理療法士として、戦争の恐怖に直面しているわけですが…。

A. もちろん、多くの「戦争体験」を耳にします。人を殺すことを強いられたと語る若者がいます。彼らは自分の意思に反して武装勢力に加えられたことで、無力感を抱いています。こうした体験談を聞くのは非常につらいことです。さらに、性的虐待を受けた少女も大勢います。北キブ州では、武装した男に連れ去られ、一夜を共にするよう強いられた5才と8才の姉妹がいました。地域の誰もがそのことを知っていたのですが、恐怖のあまり誰もが口をつぐんでいました。2人を病院に連れてくるように母親を説得するのでさえ、一苦労でした。この出来事に私はひどく衝撃を受けましたが、不幸なことに似たような例は数多くあるのです。

Q. レイプ被害者の受ける心理的影響はどのようなものですか?

A. 身体的な影響に加えて、性暴力による心理的な影響は、長期にわたって続く極めてやっかいな問題となります。性暴力は被害者の尊厳を直接的に傷つけます。被害者は自分が人間であるという感覚を失い、単なる「物」でしかないと感じてしまうのです。レイプはまた、社会的にも深刻な影響をもたらします。被害者は身内や地域社会全体から汚名を着せられ、拒絶されてしまうからです。私は数多くの性暴力の被害者に会ってきました。大半は若い女性でしたが、中には男性もいました。

MSFは北キブ州のマシシ町で、地域社会に対して性暴力についての啓発活動を行う、「女性カウンセラー」のネットワークと協力して活動しています。カウンセラーたちは、性暴力の被害者の存在を知ると、他の人たちに知られないよう配慮した上で被害者に会い、医療・心理ケアを受けるために病院または移動診療所に行くよう促します。MSFの心理療法士は、被害者と面談する他に、カウンセラーたちへの研修や指導を行い、同時にカウンセラーに対しても心理的サポートを提供します。私はマシシ町での任期中、性暴力の被害者だけでなく、戦争中に心的外傷を残すような体験をした人びとすべてを対象とする心理ケア手法を開発し、実施しました。

Q. そうした種類の支援をオー・ウエレ地方でも行う予定ですか?

A. オー・ウエレ地方の人道的状況は、ウガンダの反政府勢力「神の抵抗軍(LRA)」による襲撃、そしてウガンダとDRCの政府軍による共同軍事行動のために、極めて深刻です。私は、MSFが現地の病院の支援を始めたファラジェへ向かう予定です。心理ケアの提供手法を確立し、さらに病院職員に対する心理的支援も行う予定です。彼らは戦争を生き抜いてきており、最近も病院が直接攻撃されて数人の死者が出るという事件があったばかりです。医療者は戦闘の最前線で、暴力に直面させられる場合が多いのです。

MSF International