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「避難民は畑へ出ることへの恐怖、死への恐怖を語っています」

(2008.12.9)

国境なき医師団(MSF)はコンゴ民主共和国(DRC)北キブ州の州都ゴマの西方にあるキロチェ地方で、患者の搬送先となっている病院の支援や移動診療を行い、紛争の最前線の両側で活動を展開している。シャシャ避難民キャンプでは、心理社会的サポートを提供している。そこで活動を行っているMSFの心理療法士、カルメン・マルティネスにインタビューした。

Q. シャシャ・キャンプではどのような心理社会的サポートを行っていますか?

A. MSFは避難民たちと従来からの住民の一部を対象に、戦闘によって受けた心的外傷を克服するための心理社会的プログラムを開始しました。これは地域社会によるプログラム、つまり「専門家」に頼るのではない地域密着型のプログラムです。心理療法士は私ひとりだけです。先週、私は22人の現地スタッフに対して研修を行いました。彼らは6グループに分かれ、それぞれがキャンプ内で別々の区域を担当しています。これらのグループによる活動に加えて、プログラムには個々人を対象とする治療も含まれ、最も心的外傷の影響が深刻な人びとに対して個別の診察を行っています。

Q.現地スタッフは具体的にどのような活動を行っているのですか?

A. テーマを定めて、グループディスカッションを行っています。それぞれのグループの人数は60~80人です。先週木曜に行ったディスカッションのテーマは「健康」でした。一口に健康と言っても身体的、社会的、精神的とその意味は広範囲です。中には頭痛、胃痛、睡眠障害などについて語った人びとがいました。孤独感を訴える人もいました。今日は、人びとが不安に思っていることについて語り合いました。私たちは彼らの心に傷を与えた出来事を特定しようと試みました。彼らは私たちに、作物を作るために畑へ出ることへの恐怖、死への恐怖を語りました。彼らは自分たちの避難を非常に突然起きた出来事として思い出しました。私たちは彼らがこうした状況を乗り越えるのに役立つ手段を見つけようとしました。例えば、コミュニティのニーズに関する情報を集めるために代弁者を置くことや、宗教的儀式などの伝統的な慣習を用いることなどです。

Q. 個別の面談はどのような内容ですか?

社会的に動機付けする手法に加えて、個別カウンセリングを行っています。心理社会的カウンセラーとしての研修を受けた2名のスタッフと私とで担当しています。カウンセリングは診察と同様に行い、私たちはその中で最も重要な問題、最近経験した出来事、または非常に強烈な人生経験を特定しようと努めます。最初は彼らに自らの体験をそのまま表現してもらい、身体的および精神的な反応に対処します。ある時、復員軍人、つまり民間人に戻るために武装勢力を離れた男性のカウンセリングを行いました。彼はフラッシュバック、夜驚症(睡眠時随伴症の一種)、悪夢、夜中にほんのわずかな物音がしても非常に感情が高まることなどを語りました。自分の家から離れることが恐ろしいと言いました。実際は、こうした振る舞いを通して、彼は自分が体験したことを思い出させるような状況を避けているのです。避難民の中にはこれと似たような例が多くみられます。

Q. キャンプ内の生活環境はどのようなものですか?

A. ここシャシャ・キャンプには約4300人の避難民が暮らしています。中には里親の家族もいます。彼らはすべてを置き去りにして避難してきたため、家族が離散してしまったのです。シャシャ・キャンプには、保護者のいない子どもが約20人います。親がどこにいるのかわからないケースがほとんどです。武装集団に所持品を盗まれたという人びともいます。10月27日、治安の悪化により全員がシャシャ・キャンプからより南方のミノバへと急いで避難しました。安全が回復して戻ってみると、すべてが略奪されていました。彼らはほぼ何も持っていません。わずかばかりの毛布、ビニールシート、バケツ等を配給されただけで、極めて小さな小屋で暮らしています。キャンプ内の衛生環境は劣悪です。私たちにとって、基本的な衛生改善と健康増進のための手段を強く要求することが重要となっています。たとえば、いくつかのディスカッショングループでは衛生について重点的に取り組んでいます。

Q. 人びとは、どのようにして心に傷を与えたこれらの経験を乗り越えられるのでしょうか?

A. 患者自身の中で今でも上手く機能しているメカニズムを、本人とともに発見していかなければなりません。たとえば、誰かを信頼できる力や、家族全員と一緒にいられることなどです。先ほどお話した復員軍人は、少なくともまだ働くことはできる、時折畑に行くこともできる、と言いました。個別カウンセリングを通して、私たちはこうしたポジティブな点を見つけ出し、できることについてともに確認し合います。私たちは彼らに、心理的・身体的症状が生じるのは、異常な出来事に対する正常な反応なのだということを理解してもらうようにしています。

MSF International