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人びとが、予防が十分に可能な病気で亡くなっている

(2007.11.21)

コンゴ民主共和国(DRC)の北キブ州では2007年8月以来暴力が激化しており、数十万人が避難し、人びとが医療を受ける上での大きな障害となっている。国境なき医師団(MSF)のDRCにおける活動責任者、ジェーン・コインが、北キブ州の最新の状況と、基礎医療の欠如が現地の人びとに及ぼす影響について説明する。

Q. 医療ニーズと医療へのアクセスに関して、北キブ州の人びとが直面している問題について、どのような感じか教えていただけますか?

A. 8月中旬に始まった武力衝突で、再び大規模な避難が発生しています。避難民の数は毎日数字が変わるため、正確には把握できていません。ある推定では、既に避難している30―50万人に加えて、8月中旬以降10―15万人が新たに避難したとのことです。しかし、何度も繰り返し避難する人も多くいることから、実態を知るのは非常に困難です。いずれにせよ、今回は大規模な避難であり、家を捨てて逃げた人びとが限界に近い状況を生きているのは事実です。避難民キャンプの人口が、私たちが過去10―15年間に北キブ州で見てきたよりも多くなっているのを目の当たりにしています。ここでは、人びとは雨露をしのごうとプラスチックシートで覆いをかけた小屋で暮らしています。収穫するために畑に出ることは不可能です。食糧が手に入るかどうかは、援助団体が配給を実施できるかどうかにほぼ完全に依っています。

避難民キャンプでは、比較的過密な状態で生活しているため、伝染病が流行する恐れがあります。過去数ヵ月で、私たちのチームはコレラとはしかの治療を行いました。ニャンザレで行っているプログラムでは、大規模なはしかの流行が見られました。また、平常時にも発生するマラリア、呼吸器感染症、下痢などの一般的な病気の増加と重症化が見られます。

Q. MSFのチームは普段どのような診察と治療を行っていますか?

A. 一次治療と二次治療の両方を行っています。例えばルチュルでは、ベッド数200床の病院を運営し、内科、小児科、外科、そして救急治療を提供しています。この病院では10月の第3週に入院患者が1.5倍に増加しました。これに対応して、入院患者の収容能力を増強するためにテントを追加し、交代勤務を増やし、薬局に医療物資を追加しました。このような取り組みは可能ですが、医療の質を維持するのは明らかに困難です。一方、一次治療の観点から、私たちはルチュルのチームを基にした移動診療も実施しており、避難民が集団で暮らす場所へ赴いています。移動診療チームは、医師と看護師、そして医薬品を車に乗せて避難民のもとへ向かいます。一日に約100人から150人の診察を行いますが、その大半は5才未満の子どもです。私たちは最も弱い立場にいる人びとに的を絞って治療しようと努めています。

Q. MSFがアクセスできない人びとはどこに住んでいますか?アクセスできない理由は?

A. 北キブ州における武力衝突には複数の武装グループが関与しており、あるグループの支配地域に境界線から踏み込む度に、住民のもとへと赴く過程は複雑になります。北キブ州にはどの国際援助団体も長きにわたって足を踏み入れていない地域があります。そうした地域では、人びとがどのような状況にあるのか全く分かりません。

Q. 北キブ州で現在起こっている出来事の中で、最も衝撃的なことは何ですか?

A. 現在最も衝撃的なのは、問題の規模、避難の規模、そして感染病の流行規模です。先ほどはしかの流行について述べましたが、はしかは、西洋諸国では誰もが予防接種を受けているため全く見られなくなった病気です。このため純粋に予防接種率の低さが問題なのです。比較的人口の少ない地域にある小規模の診療所でも、はしかの患者が500人いました。これほど簡単に予防できる病気で子どもたちが死ぬ理由はありません。

Q. 北キブ州の医療状況に関して、世間に伝えたい最も重要なメッセージは何ですか?

A. 人びとが複雑な病で命を落とすのではなく、十分に予防可能な病気で亡くなっているということです。現在起きている避難では、人びとは悲惨な状況を生きています。子どもたちは呼吸器感染症にかかっても治療を受けられず、肺炎になって病院に運ばれる時には既に手遅れになっています。DRCにおける暴力の長期的な影響は、人びとが基礎医療にアクセスできないという点であり、私たちは医療へのアクセスを得られるようにしようと日々闘っています。活動地域ではMSF は良い働きをしていると思いますが、活動していない地域は無数にあり、人びとは予防できる病気で命を落としています。

MSF International