2009年を通じて、スーダン各地では医療・人道援助上の緊急事態が続いた。
ダルフール地方で続く危機、南部の住民を襲う暴力の激化、病気の大流行、そして(今年3月にMSFを含めた13の人道援助団体がスーダン政府からダルフール地方からの撤退命令を受けたことから)一部地域では医療援助さえ受けられなくなる事態に直面した。
南北包括和平合意が数十年にわたる激しい内戦を終結させてから、約5年が過ぎた。しかし、スーダン南部全体の医療ニーズは依然として緊急レベルにあり、高まる緊張が不安定な治安状況を生み出している。この1年を通じて、ジョングレイ州、上ナイル州、ワラップ州、レイク州で発生した部族グループ間の激しい武力衝突により、数百人が死亡し、数千人が国内避難を余儀なくされた。コンゴ民主共和国(以下、「コンゴ」)との国境付近やコンゴ領土内で発生した、ウガンダの反政府勢力「神の抵抗軍(LRA)」による散発的な攻撃により、何千人ものスーダン人が家を追われ、コンゴ人難民は国境を越えてスーダン国内の西エクアトリア州に避難した。
南部でのこうした暴力の激化は、市民が2005年に終結した内戦でもたらされた壊滅的な状況に必死に取り組む中で発生している。現在、住民の約4分の3は最も基本的なレベルの医療すら受けることができずにいる。この1年間、南部で活動する国境なき医師団(MSF)の現地スタッフ1200人は、栄養失調、マラリア、結核の患者数千人を治療し、いくつかの地域でさまざまな産婦人科の医療を提供した。髄膜炎、はしか、コレラ、マラリアの大流行は日常的で、MSFチームは北バハル・エル・ガザル州、ジョングレイ州、ワラップ州、および南部の首都ジュバで今年発生したコレラに対応した。また、ジョングレイ州と上ナイル州で発生した、命にかかわる寄生虫病カラアザール(内臓リーシュマニア症)の大流行にも対応している。
ダルフール地方の住民もまた、不安定な状況に直面している。数百万人が国内避難民となっており、外国からの援助を必要としている一方、散発的な内戦関連の暴力と資源をめぐる衝突が年間を通じて犠牲者を生み出している。この地方の人びとへの食糧と水、医療の提供は、国際刑事裁判所がスーダンのオマル・アル=バシル大統領を戦争犯罪と人道に対する罪で起訴したことを受けて、スーダン政府当局がMSFの2支部を含む13の国際人道援助団体とスーダン人による3団体を追放したことから、さらに困難になっている。
治安の悪化と援助活動従事者を狙った拉致事件に伴い、特に援助から遮断された農村部でのニーズ調査縮小を余儀なくされる中、現地に残った援助活動従事者は、必要な人びとに有意義な人道援助を提供できるよう、また国内避難民キャンプにとどまる約200万人の人びとの差し迫ったニーズに対応できるよう努力している。
MSFは今後も公平な医療援助活動に全面的に参加していく決意であり、現在はダルフール地方の複数の活動地で援助を続けている。国際刑事裁判所が創設されて以来、すべてのMSF支部は国際刑事裁判所と一切協力しない内規に従って活動している。この方針は、暴力にさらされる人びとへの医療援助の提供を実現するには、人道援助活動は政治的および司法上の圧力から独立性を保つことが不可欠であるとの認識に基づいている。