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2009年「10の最も深刻な人道的危機」特設ウェブサイトを公開

■国境なき医師団(MSF)は、2009年「10の最も深刻な人道的危機」を
本日、当特設ウェブサイトにて公開する

1998年から毎年発表しているこのリストは、MSFの医療チームが世界約70ヵ国で行う援助活動を通じて目撃した最も深刻な人道的危機を報告している 。12回目となる2009年のリストでは、紛争による襲撃や爆撃で市民に十分な医療 援助が行き届かない パキスタン、ソマリア、イエメン、スリランカ、アフガニスタン、コンゴ民主共和国(以下、コンゴ)、スーダン各国 や、国際社会からの資金援助の減額で治療が困難になっている HIV/エイズや栄養失調などの 病気を取り上げている 。

2009年の 危機の特徴は3つある。

1つめは、政府による 人道援助活動の 妨害で、 スリランカやパキスタンでは 紛争下で孤立無援の状態にある市民への救援活動を現地政府が許可せず、スーダンのダルフール地方ではMSFの複数のチームが国外退去命令を受けた。2009年4月以降、スリランカで政府と反政府勢力「タミル・イーラム解放のトラ(LTTE)」の戦闘が激化し、数万人の市民が非常に限られた医療ケア以外の援助から除外されていたが、MSFは政府から紛争地帯への立ち入りを禁止された。ソマリアでは2009年初頭、20万人が首都モガディシオから避難を余儀なくされ、2008年以降MSFスタッフ3人を含む少なくとも42人の援助従事者が殺害されている。


(C) Jan-Joseph Stok
2009年2月にスーダン・北ダルフール州で起こった戦闘では、12人が犠牲になった。

2つめは、紛争下の住民や人道援助従事者に対する襲撃である。

イエメン、アフガニスタン、パキスタン、コンゴ、ソマリアでは、住民あるいは人道援助従事者が襲撃を受け、市民の身の安全の確保と中立な人道援助活動の尊重が損なわれた。
政府と反政府勢力の戦闘が2009年に激化したイエメン北部のサアダ州では、10月にこの地域の唯一の医療機関であるMSFが活動する病院が砲撃を受けたため、閉鎖を余儀なくされた。同じく10月、コンゴの北キブ州では、MSFが集団予防接種を実施していた現場を政府軍が襲撃し、紛争地域で独立した援助活動を行うための信頼が著しく損なわれた。


(C)Martin Beaulieu
コンゴ民主共和国・北キブ州の避難民キャンプで暮らす人びと。

3つめの特徴は、国際社会から顧みられない病気の放置である。アフリカ睡眠病やシャーガス病への 取り組みは依然として国際社会から無視 され、HIV/エイズ感染者が必要な延命治療を受けられる機会も脅かされた。

2009年、世界基金などの資金拠出機関はHIV/エイズ治療に向けた資金援助の削減を発表し、一方で年間500万人の5歳未満児が命を落としている栄養失調の蔓延国36ヵ国での対策に必要な112億米ドル(約1兆321億円)のうち、実際に行われた資金援助は年間わずか3億5000万米ドル(約316億4000万円)にとどまっている。シャーガス病、カラアザール(内臓リーシュマニア症)、アフリカ睡眠病、ブルーリ潰瘍などの顧みられない病気の治療の拡大や、より新しく効果的な治療薬の開発の取り組みはほとんどなされなかった。

MSFインターナショナルの会長、クリストフ・フルニエ医師は語る。
「市民がますます紛争の犠牲になっており、時には意図的に救命援助から隔離されていることは明らかです。MSFは戦闘地域や私たちが活動する医療施設で、このような人道状況がもたらす結末を目の当たりにしています 」

MSFは、スーダン南部の壊滅的な飢餓がアメリカのメディアでほとんど報道されていなかった1998年に「10の人道的危機」の発表を開始した。MSFの緊急医療活動をもとに作られたこのリストは、メディアで報じられないこともある人道危機の規模の重大性とその深刻性を幅広く訴えることを目的にしている。