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数百万人がエイズ治療を必要とするも、資金援助が停滞

2005年に英国で開催されたG8サミットで、主要先進国の首脳がエイズ治療を2010年までにすべての人に行き渡らせるための支援を公約した。これに勇気づけられ、多くのアフリカ諸国政府は意欲的な治療プログラムを開始した。また、この公約のおかげで途上国の400万人を超える患者に治療が拡大された。しかし現在、首脳陣がいったん掲げた公約の履行を後退させたため、アフリカの政府と数百万人のHIV/エイズ患者は新たな難局に直面している。

この危機は、先が見えない。途上国に住む約1000万人のHIV/エイズ患者は、抗レトロウイルス(ARV)治療を緊急に必要としている。HIV/エイズは世界中で妊娠可能な女性の死因の第1位で、世界保健機関(WHO)によると、HIVが最も蔓延している上位6ヵ国では5歳未満児の死因の40%を占めている。ボツワナでは全死者数の80%が、レソト、スワジランド、ジンバブエでは全死者数の3分の2が、エイズにより命を落としている。

「米国大統領エイズ救済緊急計画(PEPFAR)」は、2003年の発足以来、200万人の患者の治療に資金を援助してきた。さらに、2013年までに合計400万人を治療することを公約していたが、現時点では今後2年間は援助の増額を控えるとしている。国境なき医師団(MSF)および他の援助団体は、国際社会のエイズ治療拡大計画に憂慮すべき後退の徴候を見ている。HIV/エイズ流行で甚大な影響を受けているアフリカ諸国では、来院した人びとが治療ができないとして診療所から追い返されている。すでにARV治療を受けている患者も、費用を負担できなくなったため治療を中断せざるをえず、健康悪化や薬剤耐性が生じるリスクが高まっている。南アフリカ共和国では、資金問題から治療が中断された際、フリーステート州だけで3000人のHIV/エイズ患者が命を落としたと推定されている。

MSFは世界30ヵ国で14万人にARV治療を提供しているが、治療普及に注力し、富裕国では入手が容易で副作用が少なく第二選択薬よりも安価な治療薬と、より使いやすい小児版の治療薬を提供するために、資金増額が不可欠と考えていた時期に、増額の停止の発表がなされた。この資金増額は、何百万人ものHIV/エイズ患者に治療を提供するためものだった。

南アフリカ共和国のカエリチャでは、南アフリカ保健省とMSFが共同で、アフリカで最も古くから実施されている公的エイズ治療プログラムの一つを運営している。治療開始から5年以内の第一選択薬を使った治療不成功率は16%、第二選択薬に切り替えた後の2年以内の治療不成功率は、その4分の1である。他の多くの途上国同様、南アフリカでも第三選択薬は入手できないため、第二選択薬での治療が成功しなかった患者は、死のリスクにさらされている。

さらに、エイズ予防と治療に関する世界保健機関(WHO)の新ガイドラインでは、HIV患者が早期にARV治療を開始した場合の健康上の利点についても述べている。この新ガイドラインの実現に向けて国際社会が公約を掲げる動きは鈍く、先進国で慢性病と化したこの病気が、近い将来に最貧国のHIV/エイズ患者の大半にとっても致命的な病気でなくなるという見込みは薄い。

MSFは、先進国政府が命をつなぐエイズ治療をすべての必要な人びとに提供し、「世界エイズ・結核・マラリア対策基金(世界基金)」を始めとするエイズ撲滅運動に十分な資金援助を行うという公約を実行するよう訴える。追加の資金援助は、多くの健康に関する最優先事項に取り組む上で必要である。通貨取引への課税など、革新的な資金援助メカニズムが世界レベルでの保健政策推進には有用だろう。

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(※ 動画は英語です)