「10の最も報じられなかった人道的危機」は、アメリカのテレビニュースを分析するオンラインジャーナル、The Tyndall Reportを発行するアンドリュー・ティンドル氏の協力を得ながら、国境なき医師団が作成。活動を通じて直面する数多くの人道的危機のうち、その深刻さに対しとりわけ報道される機会が少ないものを選定しています。
今回取り上げた国・地域や背景が、アメリカ3大テレビネットワークの毎晩のニュース番組で取り上げられた時間は、2007年1月から11月までを合計しても、わずか18分間にすぎませんでした。中でもチェチェン、スリランカ、中央アフリカ共和国についての報道は皆無でした。
国境なき医師団は、スーダンに深刻な飢餓が広がっていた1998年、世界各地の深刻な人道的危機に光が当たらず、伝えられない状況に警鐘を鳴らすため、初めて「10の最も報じられなかった人道的危機」を発表し、以来10年間にわたり続けてきました。
メディア報道には、人びとを苦境から救う変化を生み出すための大きな影響力があります。世界の人びとが真実を知り、行動を起こすことで為政者の決定に影響を与えることができるからです。またメディアに取り上げられることで、人道援助の規模が拡大されたり、援助を行う上での障壁が取り除かれることもあるのです。
ニュースには流れない危機が存在することを多くの方に知っていただき、支援の手を差し伸べていただけることを願っています。


国境なき医師団(MSF)は、1971年にフランスで設立された非営利で国際的な民間の医療・人道援助団体です。緊急医療援助を主な目的とし、世界約70ヵ国に年間約4,700人の医師、看護師、助産師らを派遣して、危機に瀕した人々に医療援助活動を行っています。
その際、MSFは誰からも干渉や制限を受けることなく、助けを必要としている人々のもとへ向かい、人種、宗教、信条、政治的な関わりを超えて分けへだてなく援助を届けています。
このように、苦境にある人々に、差別することなく「命を救うため」の医療・人道援助活動が評価され、1999年にはノーベル平和賞を受賞しました。

こうした「独立・中立・公平」の援助活動を行うため、活動資金は個人や企業など民間から広く募り、公の資金の割合を抑えています。