
ハイチ:術後ケアの拡大と長期的な取り組み
2010年03月04日掲載
ハイチで現地時間1月12日に発生した大地震から7週間が経過した。負傷者は30万人にのぼり、医療面のニーズは今も高く、さらに増え続けている。初期の緊急事態に対応した医療援助チームの一部がハイチを離れ、患者を退院させるなか、長期的な医療ケアを必要とする数千人の負傷者にとって重要な時期は、まだ始まったばかりである。
ハイチを離れる医療団体がMSFに患者を搬送

負傷した脚の治療を受ける少女。
国境なき医師団(MSF)は多岐にわたる術後ケアを必要とする多くの患者に対応するため、受け入れ態勢を更に拡充させている。このケアは二次手術、経過観察、理学療法、心理ケアなどからなり、今後少なくとも数ヵ月間にわたって提供される。ここ数日間でハイチを離れる公設病院や他の医療援助チームは200人以上の患者をMSFの医療施設に紹介もしくは搬送してきた。
ハイチにおけるMSFの活動責任者、カーリーン・クライジャーは語る。
「即対応を必要とする緊急事態の段階は過ぎたかもしれません。しかし、長期的な取り組みはまだ始まったばかりです。これもまた、緊急事態と同じくらい大変な状況なのです」
日々、求められる患者への医療提供

レントゲン写真で傷の経過を確認する。
毎日、多くの患者が包帯交換、ギプス除去、傷の洗浄や消毒、壊死した組織の切除、創外固定装置の調整、骨癒合のレントゲン確認*、皮膚移植手術後の経過観察、そして、再建外科手術その他の専門的な手術を必要としている。
*骨癒合のレントゲン確認:骨折した後、処置した部位の経過をレントゲンで確認すること。
現地で活動するニコ・ハイゼンベルグ医師は語る。
「事が起きた時には、まず緊急手術を行います。しかし、たとえそれがなされても、術後ケアがない、あるいは不十分な場合には、長期入院や一生の身的障害を招くことになるのです」
牽引治療、ギプス、創外固定装置、切断手術などによって数週間動けなかった後、患者は理学療法によって少しずつ動けるようになってきたばかりである。手足を切断した人で、義肢が体に合っているか何度も調整が必要な人もいる。
ポルトープランス市のサン・ルイ地域にあるMSFの病院のディレクター、マイケル・ジャンセン医師は語る。
「現在の健康状態や生活条件のまま、患者さんたちを家に帰すというのは考えられません」
以前サッカー場だった場所に設営された病院は、今後少なくとも1年間現地で稼動する予定である。
不可欠な心理ケア

切断手術後のリハビリ。術後ケアは、まだ始まったばかりだ。
術後ケアにおけるもう一つの重要な要素は、心の傷の経過観察と患者のカウンセリングである。ひどいけがをした人びとにとって、カウンセリングと心理的支援は、理学療法と松葉づえの使い方を教わることと同じくらい不可欠だ。
ポルトープランス市全域でMSFは心理ケアを提供している。被災者は自分の将来について大きな不安を抱えていることが多い。父親であり、今回の地震で手に重度のやけどを負った33歳のリカルドは訴える。
「私は電気技師でしたが、障害者をだれが雇ってくれるでしょう。どうやって家族を養っていけばよいのでしょうか」
MSFは近日中に追加の術後ケア施設を複数開設する予定である。これらの施設は最低でも今後1年間活動を続ける。所在地はポルトープランス、カルフール、レオガン、ジャクメルで、ベッド数は合計約1000床となる見込みである。