
パキスタン:クラム自治区の戦闘による避難民3万5000人に生活必需品を配布
2010年02月18日掲載

国境なき医師団(MSF)は1月28日から2月15日の数週間にわたって、パキスタン連邦直轄部族地域(FATA)のクラム自治区で避難民3万5000人に救援物資を配布する活動を行った。2009年11月以来、セントラル・クラムでは激しい武力衝突が起こっている。その結果の一つとして、住民はより安全な場所への避難を続けており、とりわけ、MSFの医療チームが2006年から援助活動を行っているサッダとアリザイの病院があるロワー・クラムへの避難が目立っている。
活動が制限される地域でも、効率的に救援物資を配布

1月末から2月中旬までに、クラム自治区で避難民3万5000
人に救援物資を配布。
MSFプログラム・コーディネーターのトマソ・ファブリは語る。
「約3万5000人の住民がセントラル・クラムを逃れ、サッダの町とその周辺に集まりました。避難を余儀なくされた女性や子ども、そして男性の大部分は、受け入れ家族のもとに身を寄せていますが、受け入れた側の生活も苦しく、こうした避難民の受け入れを長期間続けることは不可能です。このほか、家を借りたり、学校で生活したりしている人もいます。また、かつてアフガン難民を受け入れていた難民キャンプに住んでいる人も少数います。避難民の生活条件は厳しく、長引く戦闘が原因のストレスはさらに強まっています」
MSFは9日間で、サッダとその周辺およびアリザイの避難民3400家族に救援物資を配布した。その内容は、石けんとバケツ付きの衛生用品キット、防寒用毛布を含む宿泊用キット、および料理用キットである。また、妊娠中や授乳期の女性を対象に高カロリーのビタミンビスケットを配布した。ファブリは続ける。
「私たちの課題は、外出禁止令によりMSFの行動が大幅な制約を受けている地域で、救援物資の配布を効率的に行う態勢を整えることでした。MSFは非常に緊迫した状況の中で活動しなければなりませんでした。サッダの近くで戦闘があったため、救援物資の配布活動を数日間遅らせなければならないこともありました」
避難民の増加に伴い、診察件数は4倍に

配給では、生活必需品のほか、妊産婦や授乳期の女性には
高カロリーのビタミンビスケットも配布。
この地帯にとどまっている避難民のほとんどは、現在の困難な状況が近いうちに終わるとは考えていない。というのも、自分たちが住んでいた村では戦闘が続いており、援助、特に食糧援助が必要という深刻な状況に変わりはないからである。救援物資配布チームのメンバーのひとりは語る。
「避難民が住んでいた村の状況は依然として不安定です。家を守るため村に残った家族に全く連絡が取れないと話す避難民もいます」
MSFは、2004年からクラム自治区で活動し、同自治区に常駐して無償の医療を提供している唯一の国際医療援助団体である。MSFは、サッダとアリザイの病院で、小児外来と産科医療を提供している。避難民家族の流入に伴い、小児科の診察件数は大幅に増え、以前の1ヵ月あたり1200件から、現在では1週間あたり1200件と大幅に増加している。拡大する医療ニーズに応えるため、新たにMSFの医師2人がサッダで活動中のチームに加わったほか、今後数週間のうちに追加の医療スタッフも現地に入る予定である。MSFはペシャワールとチャルサダでも、クラム自治区からの避難民家族の診察にあたっている。
MSFは1998年以来、パキスタン国内の北西辺境州、連邦直轄部族地域、バロチスタン州で無償の医療を提供している。この活動は武力紛争、医療サービスの不足、自然災害の影響下にあるパキスタン人およびアフガニスタン難民に提供されている。
MSFはパキスタンにおける援助活動を、いかなる政府あるいは資金拠出機関からの助成金も受けずに、一般市民による寄付のみで運営している。