
ハイチ:移動診療の開始による新たなニーズへの対応(1月23日現在)
2010年01月25日掲載
首都ポルトープランスの比較的大きなMSFの病院と、それぞれの周囲に設置されたテントの病棟では、負傷者の治療や手術が続けられている。一方で、最近活動を開始した複数の移動診療チームは、首都の市内と西部のいくつかの町に赴き、治療を必要とする多くの人びとを確認している。過去10日間、市内で機能している病院はすべて重傷の患者であふれかえっていたため、慢性疾患や、長期治療が必要な外傷の治療にまで対応することは困難だった。移動診療チームの行く先には、比較的軽い傷や病気であっても、治療を行わなければすぐにでも深刻な状態になりうる患者がいる。
移動診療を通じて多くの患者を確認

マルティッサンの病院で治療を受ける女の子と付き添う父親。
首都で移動診療を開始した初日だけで、傷の洗浄や包帯の交換、傷の縫合など、MSFの病院で専門的な処置を行う必要がある患者が約200人確認された。西部のレオガンとグランゴアーブでは、外科手術を必要とする患者数10人を確認し、病院に搬送した。
ポルトープランスのもっとも貧しい地域の1つであるシテ・ソレイユのスラム地域では、MSFが1日30件近くの手術を実施している。ここで活動するチームによると、運ばれてくる患者たちの間で、銃弾やなたによる傷を負った人の数が若干増えている。この地域の治安状態が目に見えて緊迫の度合いを増していることを考えれば、そうした暴力による患者の数が1日平均3件という数字は、少ないともいえる。MSFの緊急活動コーディネーターの一人、マリー=クリスティン・フェリルは、この現象は広い視野でとらえる必要がある、と語る。
「今回の地震のずっと前から、ここは非常に生活するのに厳しい地域でした。多くの社会問題や、根深い暴力が存在します。この地震によるストレスのために、地域の緊張がさらに高まっていくことは明らかでしょう」
一方で、他の複数のチームは、患者を治療し、保護するための適切な建物を探し、新たに建設する、という課題に引きつづき取り組んでいる。水曜に起きた大きな余震は、もともと火急に必要であった業務をさらに複雑にした。ポルトープランスの2つの病院とレオガンの病院では、屋内が安全ではなくなったために避難を余儀なくされ、患者をテントに収容したり、設置中のテント病院のそばに移送したりしなければならなかった。
MSFスタッフの安否

互いに励まし合う、ハイチ人看護師。
この緊急援助に携わるMSFのスタッフの総数は急速に増えつつあるが、地震発生時にMSFのプログラムで働いていたハイチ人スタッフのうち、数人については消息確認に長い時間がかかった。自らの家族や地域も大変な状況であるにもかかわらず、極めて多くのハイチ人スタッフが、仕事に復帰してきている。しかし、MSFは、大きな痛恨とともに、私たちの同僚4人の死亡が判明したことを、ここに記さねばならない。この他にも、私たちが最近活動を共にした4人が命を落としている。また、現在も連絡がつかない6人のスタッフの安否も、引きつづき確認に努めている。