コンゴ民主共和国/コンゴ共和国:激しい武力衝突を逃れた10万人が危機的状況に直面

2010年01月25日掲載

コンゴ民主共和国

コンゴ民主共和国(DRC)では、一連の激しい暴力行為を避けて、約10万人が赤道州から国境を越えて避難した。こうした避難民は隣国コンゴ共和国では難民としての地位をもたず、不安定な状況の中で生活しており、限られた援助しか届かない者もいる。国境なき医師団(MSF)の緊急対応副責任者であるロラン・シュリーが、先日現地の状況を調査した。


コンゴ民主共和国からコンゴ共和国へ逃れてきた人びと。
コンゴ民主共和国からコンゴ共和国へ逃れてきた人びと。

Q. 何万人もの人びとの大半がコンゴ共和国や中央アフリカ共和国へと避難しました。こうした人びとは何から逃れているのですか?

A. 当初はDRC国内で、ドンゴ付近での漁業権をめぐって地域内で衝突が起こっていました。昨年10月末、ある町で住民が他の住民を襲撃。その後、コンゴ国軍が攻撃を開始し、だれもが避難したのです。激しい攻撃の直接の標的となった住民もいましたし、武装した兵士があまりにも多いため、現地を離れる決断を下した住民もいました。

私たちはMSFの疫学研究組織であるエピセンターに、2009年10月28日から12月中旬までの死亡率をさかのぼって調査するよう依頼しました。調査結果は現在も分析中ですが、ドンゴでの襲撃事件(10月28日~11月1日)では、200人に迫るそれまでの推定死者数をはるかに超える死者が出たことが明らかになっています。この調査はベトゥ郡で行われましたが、同郡には11月上旬に多くの避難民が到着しました。川を渡る際に溺死した人もおり、少数ですが病死した人もいます。赤道州の現状、また避難できなかった人びとへの暴力行為についての情報はさほど入手できていません。現在、赤道州には約6万人の避難民がおり、コンゴ共和国にいる難民は9万人、中央アフリカ共和国の難民は1万5000人です。

Q. 暴力行為がコンゴ共和国の難民キャンプに拡大する可能性はありますか?

A. MSFは、中央アフリカ共和国南部のモングンバからコンゴ共和国のアンフォンドにかけて、ウバンギ川沿いの多数の難民キャンプで活動していますが、暴力行為は特に目撃していません。現在、民兵組織のメンバーも含めて、あらゆる地域社会の住民が難民となっています。衝突は数回ありましたが、深刻なものではありませんでした。

今のところ、難民たちが私たちのチームに語る内容から見て、彼らはコンゴ共和国内が比較的安全だと感じており、身の安全が守れないと考えている赤道州への帰還を望んではいません。一部の避難民にとっては恐怖の対象は、反政府活動だけにとどまりません。彼らは隣人から、いきなり襲撃を受けました。今でも恐怖はおさまっていません。これらの難民は保護を保証される資格を持たず、強制送還される可能性もあります。

Q. 難民の生活状況は、現在どうなっていますか?

A. 環境面は比較的良好です。森林と川によって基本的な食糧の需要は満たされています。もともと援助物資の到着は遅く、数万人が押し寄せたことで、すぐに底をついてしまいました。難民の大半は飲み水が不足し、川の水に依存しています。難民は少人数の集団に分かれたまま、国境である川沿いに点在しています。故郷の村は川の向こう、わずか数キロのところです。難民の中には、現地住民の家や公共施設に身を寄せている人もいます。また、手に入れた資材で仮住まいの小屋を作った人や、今なお戸外で眠る人もいます。MSFは、まだ何の援助も受けていない3000家族に対し、ビニールシートと蚊帳を配布する予定です。

難民たちの避難時の状況には、かなりの差があったようです。十分に準備することができた人もいれば、着の身着のままで逃げてきた人もいます。全体として人びとのニーズは満たされていませんが、国連当局が対応を始めています。援助物資の輸送と配布は煩雑で、わずか数百人に届けるためにもボートでの長時間の移動が必要です。移動時間と費用が、あまりにもかかり過ぎました。このため、私たちは移動診療所を、現地に拠点を置く診療所に転換することによって対応しています。

Q. MSFは難民向けに、どのような支援を提供していますか?

A. 難民の到着に対応できるよう、活動内容を拡大しました。現行のプログラムは多岐にわたっています。医療施設がほとんどなく、診療が有料という理由から、難民が医療を受ける機会は非常に限られています。当初、私たちはベトゥ郡での医療サービスの組織化を優先的に行いました。同郡では現在、病院でのサービス(救急、外科、小児科)に加えて、5ヵ所の診療所を運営しています。

新たな難民の到着後、11月末にはドンゴからアンフォンドにかけての南部の状況を調査しました。調査を終えてから、私たちはさらに6ヵ所の診療所を開設し、ドングの医療施設とアンフォンド病院の支援も行いました。12月中旬には中央アフリカ共和国内の難民が増加したため、現地の状況を調査して新たな活動を開始しました。1月初め、モングンバで初めての訪問診療を実施しました。各診療所では1日に平均100人の患者が受診しています。主な病気は呼吸器感染症、下痢、マラリアです。難民と現地住民の双方に対して、MSFの診療所はすべて無償で対応しています。また、別のMSFチーム1チームが現在DRCの赤道州にあるボムボマとボコンジの町で活動しています。この地域には約3万人の避難民がいます。