
ハイチ:移動診療、水供給、術後ケアなど新しい活動を展開(1月22日現在)
2010年01月22日掲載
ポルトープランス内外で国境なき医師団(MSF)が行っている援助活動は主に、9日前の地震で負傷した人びとの治療や手術に向けられ、首都の比較的大きな病院の手術室での治療を集中的に行ってきた。しかし、首都での移動診療や水供給を開始し、術後ケア活動の準備を進めるなど、新しい活動の展開も始まっている。
高まる手術後の専門ケアのニーズに対応

余震のため、屋外での手術も行われて
いる。
これまでにMSFは900人以上の患者に外科手術を行い、致命的な損傷を腎臓に受けて透析治療を行う患者の数も増え続けている。これは、専門的な医療の重要性がすでに高まり、症例によっては理学療法や心理ケアなどの長期的な治療が必要となることを意味している。また、他の援助団体や軍などが医療活動を拡大しているため、ハイチ国内の外科医療の規模も全体として膨らみつつある。このため、MSFは、まもなく術後ケアのニーズがかなり増大するものと考え、術後ケア専門部門の立ち上げに取り掛かった。
「深い傷や、開放骨折、腕や脚の損壊といった患者があまりに多いときは、なるべく多くの治療を迅速に進めることが、最善策になります」
MSFの医療アドバイザーの一人、ザビエル・ラサールは語る。
「しかし、こうした手術や治療の提供には通常は数ヵ月を要する一方で、緊急援助の外科治療チーは、ふつう1、2週間しか滞在しないことが多いのです。負傷者の多くは腕や脚の傷に感染を起こしており、傷をきれいにするための外科処置や、場合によっては整形手術や再建手術が今後必要となるでしょう。そういった術後ケアにも数週間かかります」
20日の余震がもたらした影響と対応策
進行中の活動に適した場所を確保する努力も、20日の強い余震の影響に対応を余儀なくされている。外科と一般治療の重要な活動拠点の一つだったカルフール病院では、本館の建物がもはや安全ではないことが判明し、スタッフが近隣の学校に新たな治療設備を立ち上げる作業に追われている。屋外のテントも複数が追加で設置された。

ポルトープランスで進むテント病院の設置。
一方、ショスカル病院とパコ病院では、M6.1の余震後に、専門の技術者によって建物の強度の検査が行われた。ショスカル病院は、建物内の手術室で治療を続けても安全であることが確認されたが、患者たちは屋外のテントにいることを希望している。パコ病院は崩壊の危険があることがわかり、患者を別の場所に搬送する手配を始めた。形になりつつあるテント病院では、100床の病棟に手術を必要とする患者を運び込むという、難しい搬送計画の準備も行われている。
MSFは今回の緊急援助で初めての移動診療を町の一部で開始した。移動診療チームは、ポルトープランス市内のカルフールやデルマの近辺をまわって、地震による負傷の治療が必要な人や、一般的な医療ニーズを抱える人びとを探しはじめている。また、家を失った人びと7000人に飲用水を提供するプログラムも開始した。首都の外では、複数のチームが医療の足りない地域を探しつづけている。西部のレオガンでは外科手術と一般診療の活動を始め、移動診療車がグランゴアーブやデュフォールなどの町で被災者を訪ねて回っており、すでに大きな手術が必要な患者が約20人見つかっている。