HIV/エイズ:12月1日は「世界エイズデー」

2009年11月掲載

世界に目を向けると、HIV/エイズの緊急事態がまだ過去のものでないことは、火を見るより明らかです。現在、世界で3300万人がこの感染症を抱えて生き、毎年、200万人の命が失われています。

12月1日の「世界エイズデー」を機に、国境なき医師団(MSF)の活動地の一つ、南アフリカ共和国(以下、「南アフリカ」)のカエリチャ地区を例に、HIV/エイズを取り巻く現状をお伝えします。

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「HIVを抱えて生き、結核で死ぬ」カエリチャの人びと

ケープタウン近郊、貧困で知られるカエリチャ地区には、「HIVを抱えて生き、結核で死ぬ」という言葉がある。それは、3人に1人がHIV陽性反応を示し、HIVに関連した病気が死因として最も多いこの地域の人生を端的に表しているのだ。

現在、南アフリカのHIV感染者の人数は世界で最も多く、550万人にのぼる。南アフリカで抗レトロウイルス薬(ARV)治療を受けている人が85万人と世界で最も多い一方で、生存に必要な治療薬を手に入れられない人が何百万人も存在する。手の届かないほど薬が高価か、そもそも薬が出回っておらず、南アフリカでは毎年HIVに関連した病で35万人以上の命が失われているといわれる。

HIVウイルスは免疫システムを攻撃するため、感染者は結核のような感染症にかかりやすく、カエリチャ地区の劣悪な生活環境や高い人口密度の中では、感染が広がりやすくなる。

HIV/エイズ・結核の二重感染治療に取り組む、MSFの活動

1999年に、MSFはHIV/エイズの治療とケアのパイオニアとして、南アフリカ保健省を支援してカエリチャ地区で活動を開始。以降、1万3000人にARV治療を提供し、HIV/エイズと結核という致死的な二重感染と闘うための効果的な方法を模索してきた。2つの病気の治療を統合することで、患者はより質の高いケアを受けることができ、医師は患者の病状管理がよりしやすくなった。

ウブントゥ診療所はエイズ治療の最前線における成功例で、毎年6000人以上のエイズと結核患者の治療にあたっている。しかし世界に目を向けると、HIV/エイズ分野への国際的な資金確保は必至であり、また、より安価な新薬が切に待たれている。

国際社会では最近、金融危機の影響などを受けて、資金拠出国政府や援助資金拠出機関が、発展途上国へのエイズ対策資金提供の公約に消極的にな傾向にある。世界のHIV陽性者の約3分の2は発展途上国に住んでいるが、治療を必要とする600万人に残された時間は少なく、その多くは治療がなければ3年以内に命を落とす危機にさらされている。

スライドショー HIV/エイズ:貧困や偏見、疎外を乗り越えて生きるアサヴェラの夢

カエリチャ地区で治療を受けながらエイズとともに生きる少女の声をお聞きください。抗レトロウイルス(ARV)薬と結核治療によって、どのように人生が変わったかを語ります。彼女の言葉からは、貧困、社会からの疎外、偏見に対処しながらも抱き続ける希望が伝わってきます。

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プレスリリース

12月1日は世界エイズデー 資金減額で死者増加の恐れ-HIV/エイズ対策

エイズ対策のための国際的な資金援助公約の後退は、ここ数年、劇的に進展してエイズ関連の病気や死亡を減らしている取り組みを根底から覆す恐れがある―国境なき医師団(MSF) が2009年11月5日に発表した報告書はこう指摘している。
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特集

「特許プール」推進キャンペーン:医薬品の「特許プール」を応援しよう!

途上国では、HIVに感染した多くの人びとが、必要な医薬品を入手できずにいます。けれど、医薬品の普及を目的に設立された「国際医薬品購入ファシリティ(UNITAID)」が進めるHIV治療薬の「特許プール」が活用されれば、こうした状況を変えられる可能性があります。
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ビデオギャラリー:HIV/エイズ:望みをつなぐ、ウガンダ北部での治療

「一時期は、もう娘は死んでしまうのだと思っていたほどでした。生きて、こんなにかわいらしくなってくれるとは思いませんでした」。HIV/エイズ治療において特に状況の厳しい子どもの治療は、この分野の優先課題の一つです。抗レトロウイルス薬(ARV)を必要とする子どもは世界で約190万人いる一方、HIVに感染した15歳未満児のうち薬を手に入れられるのは20万人と、深刻な状況です。国境なき医師団(MSF)が2007年からウガンダ・キトグム地区で提供しているプログラムを例に、外来・入院・産科部門で提供されるHIV/エイズと結核の二重感染治療についてご紹介します。

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報告書「患者主体のアプローチによる多剤耐性結核治療:南アフリカ共和国カエリチャ地区におけるパイロットプロジェクトからの報告」(英語版)(2009年3月発表)

南アフリカでは、2006年に治療の機会を広げるHIV治療の分散化が進みました。また、HIVに関して始まった健康教育は、結核・HIV/エイズ治療においても採用されるようになりました。健康教育では、地域社会や医療スタッフに病気に関する情報発信を実施、結核の発見率向上や医療スタッフへの研修強化、患者のサポートチーム結成、医療施設での感染対策強化などに取り組んでいます。本報告書では、アプローチごとに、その取り組みを紹介しています。

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報告書「南アフリカ・カエリチャ地区 年次活動報告書2007-2008」(英語版) (2008年8月発表)
報告書「南アフリカ・カエリチャ地区 年次活動報告書2007-2008」(英語版) (2008年8月発表)

約50万人が住むカエリチャ地区は、南アフリカでも最もHIVの罹患率が高い地域の一つです。患者数が多いという状況の中、複雑な症例に対しても一次医療の範囲でできるだけ対応する取り組みが続けられてきました。どのように現地政府と協力し、治療体制を充実させ、国際的な治療プロトコルを公共医療に取り入れながら活動が発展してきたか、その経緯を俯瞰しています。

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報告書「ウブントゥ診療所における結核・HIV/エイズ治療統合に関する報告」(英語版) (2007年11月発表)
報告書「ウブントゥ診療所における結核・HIV/エイズ治療統合に関する報告」(英語版) (2007年11月発表)

HIV感染者はその免疫不全から、多くの人が結核にも感染しています。2006年の結核・HIV/エイズ二重感染率は70%近くあり、その数は年々増えつつあります。MSFは2003年から、カエリチャ地区で二重感染患者への対応を改善するため、パイロット版の診療所を開設しました。のちに、カエリチャ地区内診療所のモデルとして採用されたウブントゥ診療所の、結核・HIV/エイズ治療のワンストップサービスについてご紹介します。

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