フィリピン:引き続き、疾病発生の監視と防止に尽力

2009年11月10日掲載

10月30日の深夜、フィリピン北部ルソン島中部のケソン州東海岸で台風21号「ミリネ」の接近に伴い、土砂崩れが発生した。風速150km/h、瞬間風速186km/hの台風21号は、この地域に豪雨と洪水をもたらした後、勢力を弱めて熱帯低気圧に変わり、ベトナム方面へ向かった。


高まる水因性疾患のリスクへの警戒

フィリピンを直撃した3つの台風は大洪水を引き起こし、多くの人びとが避難所に逃れた。
フィリピンを直撃した3つの台風は大洪水を引き起こし、
多くの人びとが避難所に逃れた。

マニラでは、主にタイタイ・バランガイおよびラグナ・ベイ周辺で台風の影響を受け、少なくとも19人が死亡したほか、数名が行方不明となっている。1万5000人以上が複数の避難所に避難しており、14の州で約30万人が被災している。2009年9月下旬に台風16号「ケッツァーナ」の深刻な洪水被害を受け、まだ混乱が続いていた地域では、台風21号「ミリネ」により壊滅的な被害を受けた。

「中には水位が腰の高さまで上昇した地域もあります。人びとは台風16号の被害に対処しようとしていたところで、水が引かない状態の中で、すでに数週間を過ごしていました」
国境なき医師団(MSF)の緊急対応コーディネーター、ピエール・ルイジ・テスタは語る。
「新たな試練に直面し、水因性疾患のリスクが高まるのは確実です」

先月からラグナ・ベイとマニラ東部のすべての被災地で被災者の援助を行なってきたMSFは、新たに洪水被害を受けた地域、特にラグナの海岸部と南部の地域、および町の80%が冠水したサンタ・クルスで調査を行なっている。

衛生用品等の配給や簡易トイレの設置を実施

避難してきた人たちを診察するMSFのスタッフ。サンタ・クルスにある避難所にて。
避難してきた人たちを診察するMSFのスタッフ。
サンタ・クルスにある避難所にて。

また、タルラック・バランガイ、ロス・バノス、カブヤオ、サンタ・クルス、カランバでは、衛生用品キットやビニールシートの追加配給、および簡易トイレの設置や清潔な水の提供を含む水・衛生活動に対するニーズを特定した。さらに、この地域では5ヵ所の基礎的な医療を提供する施設が台風後に洪水被害を受けたため、これらの地域に新たに移動診察を開始する予定である。

ラグナ地方の避難所と洪水被害を受けた集落では、MSFは定期的に移動診察を行い、引き続き、現地住民の健康状態を見守り続けている。援助活動の開始以来の診察件数は、1500を超える。

さらに保健省と協力して、動物の排泄物に汚染された水との接触に起因する下痢、レプトスピラ症、細菌感染の症例の管理と調査に取り組んでいる。

MSFは、貯水容器、調理器具、毛布、石けん、仮住まいを建てるための建設資材を含む救援物資を被災地の1万8000家族に配給した。また、複数の避難所で、簡易トイレの設置や、塩素とブラシを含む衛生用品キットの配給を行う水・衛生活動も現在進行している。


MSFは、ルソン島北部のカガヤン州、イロコス・ノルテ州で最初の援助活動を実施した後、パンガシナン州、タルラック州、ベンゲット州で洪水被災者に援助活動を行っており、1万2000セットの衛生用品と建設キットを配給した。これらの地域ではすでに2500件を超える診察を行っているが、今後も健康状態、および下痢とレプトスピラ症を監視し、疾病発生の管理と防止に努める。このほか、パンガシナン州ロサルスでは、簡易トイレの設置と9000家族への浄水剤の配給を行っている。