ジンバブエ:この国からエイズをなくしたい ─自らもHIV/エイズとともに生きる看護助手の物語

2009年07月13日掲載

MSFの診療所で働くダディライはいつも颯爽としている。
MSFの診療所で働くダディライはいつも
颯爽としている。

アフリカ南部、ジンバブエの首都ハラレ郊外にある診療所で、MSFはHIV/エイズ患者の治療に取り組んでいます。ダディライは、この診療所で働く32才のジンバブエ人女性。いつも朗らかで、診察を待つ患者から問診票を集める姿は、仕事への誇りとやる気に満ち溢れています。彼女は「たくさんの人を助けたい。ジンバブエからエイズをなくしたいのです」と、確固たる信念をもって言います。それは彼女自身、エイズで夫を亡くした経験を持ち、自らも治療を続ける患者であるからです。

彼女の夫は、治療を受けることなく亡くなりました。「彼は、恐怖のあまり治療を拒んだのです。病院で死の床にあっても、どんな薬も受け付けませんでした」。夫の死後、ダディライとまだ幼い下の娘も具合が悪くなりました。検査の結果、健康に見えた11 才の上の娘も含めて、3人ともHIV陽性であることがわかりました。

病状が悪化し、HIV陽性の娘2人を抱え、歩くことも、食べることも、身の回りの世話をすることもできなくなってしまった彼女は、2年前に抗レトロウイルス薬による治療を受け始めました。そして健康を徐々に取り戻すと同時に、MSFの活動にボランティアとして参加するようになりました。HIV陽性の人びとに会い、彼らが病気を受け入れて、治療を継続できるよう手助けする活動に従事したのです。

ボランティアとして1年間働いた後、彼女は学校に戻ることを決めました。「この国で、だれもHIVにかからないようにしたい。どうしたらHIVを予防できるか、どのように治療を受けたらよいかをみんなが学べるよう、助けたい」と考えたからです。毎日2時間歩いて通学し、授業後と日曜日に野菜を売ることで生計を立て、2人の娘を養いました。当時を振り返りながら彼女は、「とても辛い時期だったわ」と言います。しかし彼女はがんばりました。そしてついに学校を卒業し、看護助手としてMSFで働くことになったのです。

ダディライは、どこでも、だれにでも、エイズについて、検査を受けることの大切さについて話します。「バス停で待つ間に説教をすることもあるのよ」。HIV陽性であることを信じてもらえないときは、自分の薬を見せて説得します。「まずは検査を受けて自分の状態を知ること。そして治療を受けてね」と。