チェチェンにおけるMSFの活動状況−2008年7月現在−

2008年08月15日掲載

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MSFは、グロズヌイの第9病院で神経外科部門
および外科部門を支援している。2006年10月撮影

ロシアからの独立戦争が終結したにも関わらず、チェチェン共和国とチェチェン人の健康は不安定な状況の影響を受け続けている。一時に比べれば表面的には沈静化しているが、車輌爆破や銃撃といった治安を脅かす事件が頻々と報じられるなど、以前とは異なる形で紛争が根強く残っている。暴力は近隣諸国のイングーシ、ダゲスタン、カバルダ・バルカル、北オセチアまで広がっている。情勢不安のため、国境なき医師団(MSF)は北コーカサス地方においては「遠隔地からの」援助プログラムを実施することにした。チェチェンでのプログラムに関しては、数千キロ離れたモスクワにある調整事務所にいる統括チームのメンバーが運営している。チームのメンバーは、折りをみてこの地域へ迅速に、かつ短期間赴くことが可能である。

医療ケアの必要性が非常に多岐にわたっているため、チェチェンにおいてMSFは一次医療診療所、外科、結核治療および心理ケアといった広範にわたる医療プログラムで対応している。MSFが運営している診療所では、チェチェン人医師がストレスに起因する病気に苦しむ人びとを治療している。移動診療では、チェチェンに帰国できたものの仮設シェルターに暮らし続けている避難民を対象に、アウトリーチ活動*を行っている。母子医療に重点をおいているため、MSFは小児向けケアと婦人科のサービスを提供し、グロズヌイにある既存の母子保健施設を支援している。2002年にはその一環として、心理ケアを組み入れた。グロズヌイの第9病院では神経外科部門および外科部門を支援しており、MSFの医師は、ここで年間150件以上にのぼる暴力に関連した外傷の治療を行い、集中治療ユニットと、長期にわたる戦争による傷害を治療する再建外科治療プログラムに携わっている。

結核の治療は、戦争の終結以降、チェチェンで援助が必要とされている重要な分野のひとつである。MSFが支援する結核治療プログラムは2004年に始まり、最近拡大し、現在ではチェチェン共和国全体と南部の遠隔の山岳地域にいる結核患者に医療を提供している。

一つ、また一つと人道援助団体はチェチェンにおける緊急支援活動を終了している。しかし、この地域における治安状況は非常に不安定なままであり、MSFの調査では、住民が医療サービスを依然として必要としていることが明らかとなっている。

MSFのチェチェンにおける活動責任者、ウィレム・ド・ジョンジュは語る。「チェチェンにおいて、状況が大きく好転していることは分かります。しかし、いつ何時悪い方向に向かうかは全く分からないのです。」

*こちらから出向いて、援助を必要としている人びとを積極的に見つけ出し、サービスを提供すること

遠隔地からの援助プログラムとは?

遠隔地からの援助プログラムとは、外国人派遣スタッフが実際の活動地に赴くことなく機能させる活動形態である。

この場合、活動国の統括チーム (活動責任者、医療コーディネーターやその他の統括チームの人員)は通常、実際の活動地に赴くことはほとんどなく、プログラム地点からかなり離れた場所に拠点をおくことが多い。

この種のプログラムは、活動地における援助活動従事者の安全面のリスクが大きい場合に実施される。そのため、現地で調整にあたる現地スタッフ(医師、看護師、ロジスティシャン、アドミニストレーター)のみが活動の実施にあたる。