マリ:マラリアによる死はもはや回避不可能ではない

2008年04月24日掲載

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毎年2百万人がマラリアで命を落としており、そのうち80%がサハラ以南のアフリカに暮らしている。マリでは、マラリアは5才未満の子どもの主要な死因である。

ニジェール川が西から東へと流れるマリ南部は、この伝染性疾患を媒介する蚊が繁殖するのに適した湿地帯である。ここでは至るところでマラリアが発生しており、寄生虫による被害をより受けやすい子どもたちが主な犠牲者になっている。5才未満の全ての子どもが少なくとも年に一度はマラリアに感染しており、中には年に2度や3度も感染する子どももいる。非常に高い治療ニーズがあるにもかかわらず、現地の医療制度では適切な対応ができないのが現状である。

カンガバ地区のカラコロ村のイマーム(イスラム教の指導者)は語る。「私の村の子どもたちは、雨季が来る度にマラリアにかかってハエのようにバタバタと死んでいきました。死者の数があまりにも多かったので、一度に2人ずつ埋葬しなければなりませんでした。」

2005年に国境なき医師団(MSF)がマラリア対策プログラムを開始したのは、このカンガバ地区であった。住民の大半が一日1米ドル(約100円)未満で暮らしているこの地域では、病人が有料の医療制度を利用するのは困難である。ほとんどの場合、薬草やそれを混ぜ合わせたものが病気と闘う唯一の方法である。またマラリアの伝染率が最も高い時期である雨季には、湿地に阻まれて多くの村が孤立し、診療所に赴くことができない。

この危機的な現状に対応して、MSFは人びとにとって金銭的にも地理的にも利用しやすい質の高い医療を提供することにより、カンガバ地区の診療所7ヵ所に支援を行っている。MSFは医療制度の利用を妨げている要因を特定し、新しい方策を講じた結果、診察に訪れる患者の数を4倍にすることに成功した。この成功の中心となったのが、新しい料金体系の導入である。

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最もマラリアの被害を受けやすい5才未満の子どもと妊婦には、現在、全ての医療ケアを無料で提供している。5才以上の患者は、従来の2000から6000 西アフリカ金融共同体(CFA)フラン(約450円から1350円)の代わりに、一律 200 CFAフラン(約45円)の料金さえ支払えば、この地域で見られる病気の大多数を占める熱病の完全な治療を受けることができる。この手法を既存の制度に組み込むために、MSFは診療所の収入減を全面的に補っている。現在ではほとんどのマラリアの症例に早期に取り組むことが可能となり、多くの場合致命的となる重度のマラリアの発症予防につながっている。

MSFの支援を受けるある診療所の所長は語る。「以前は感染率の最も高い時期でも1日に4人しか患者が来ませんでした。今では連日20人から30人の患者の診察に追われています。ようやく、人びとの医療ニーズに応じているという精神的な満足感が得られるようになりました。」

距離の問題を解決するために、MSFは移動診療チームを編成した。雨季の6ヵ月間、「マラリア・エージェント」たちは孤立した村に赴く。チームのメンバーはMSFからトレーニングを受け必要な器具を与えられた農民や所帯持ちの男性たちであり、患者を発見するためのスクリーニングと、10才未満で合併症のない単純なマラリアを発症している子どもの治療を無料で行っている。

現在では、カンガバ地区の人びともようやく質の高い医療を受けることができるようになった。人びとは困窮することなく医者の診察を、効果のある治療を受けることができる。また雨季に孤立する地域の人びとの場合、自宅で無料の治療を受けることができるのである。