
再びコレラに見舞われるギニア
2007年08月29日掲載
西アフリカの風土病であるコレラが、再びギニアを襲っている。5月末に始まった雨季は、衛生状態の悪い首都コナクリをはじめとする各地で、感染が拡大するのに格好の環境を作り出している。感染者が増える中、国境なき医師団(MSF)は現地の医療機関への直接支援を強めている。
コナクリでは、「コレラは7年に1度、頭をもたげる」という古くからの格言が時代遅れになって久しい。市内の衛生状態は劣悪で、毎年雨季になるとコレラの原因となるコレラ菌が繁殖に好都合な環境を得て急速な広がりを見せ、人命を脅かす。道路の至るところに家庭ゴミが散乱しており、溢れかえったトイレは給水所からあまりにも近い。不健康な環境のため、住民が適切な水準の衛生状態を維持するのは難しい。
問題は他にもある。200万人が暮らすコナクリは、細く突き出た半島に位置する都市だが、市内に広く散在する病人にとって、医療機関に足を運ぶことは容易でない。
今年1月以来、2500件近いコレラの症例が記録されている。このうち90人が死に至った。患者が増加の一途をたどる一方、現地の医療機関のコレラ治療能力は十分でない。こうした状況を受けMSFは6月末、ドンカ病院に対する医療支援を始めた。さらに8月、市内のマトトとラトマという人口密集地区にも、それぞれコレラ治療センター(CTC)を設置した。
ギニアにおけるMSFの活動責任者のセルジオ・マーティン・エステソは語る。「コナクリでコレラに感染する人の数は、7月からかなり増えています。MSFが活動する3ヵ所のセンターでは1260人の患者を治療しましたが、このうち千人以上はこの3週間に来院しました。」
MSFは、ギニア保健省が設立した緊急コレラ対策ユニットの一部として活動している。この組織は、コレラ流行に関係する各機関の取り組みを効率的に調整することを目的としている。
緊急対応態勢は存在するものの、今年も再び、医療施設の準備不足と医療制度の不備が浮き彫りになった。エステソは強調する。「良く知られていることですが、即座に治療を受けられる態勢がなければ、コレラはあっという間に、そして大量の命を奪います。にもかかわらず、またもや医療関連の各施設では、この緊急事態に対処する準備は整っていませんでした。」
マトト地区ダボンパとドンカ病院のCTCでは、訓練を受けた医療スタッフが特に不足している。プログラム責任者のキャロライン・フランコは語る。「もし私たちが恐れているように、今後数週間にわたって患者の数が増え続ければ、現在治療に当たっている現地の医療チームはたちまち疲弊してしまうでしょう。そうなれば、人材不足を埋めるために、MSFが支援を行う必要が出てくるでしょう。」
予防面については、塩素化溶液を配布したり、人びとに清潔な水を飲み、身の周りの衛生にもっと注意するよう呼びかける公衆衛生キャンペーンを展開するなどの取り組みを、現地の団体が行いつつある。しかし飲料水が未だに有料であることが、人びとへの呼びかけの効力を弱め、感染の拡大を助長している。
エステソは締めくくる。「ギニアの衛生状態について言えば、この種の感染症が今後さらに増えることが予想されます。このため、患者の治療という面で当局が十分な準備態勢を整えることが欠かせません。これは大勢の命を救う上で、不可欠な要素なのです。」
コレラは極めて感染力が強く、激しい下痢と嘔吐を伴う重度の腸の感染症を引き起こす。感染者はわずか数時間で脱水状態になり。命を落とす。治療としては、患者の状態によって経口補水または静脈内輸液を行い、そのうえで必要に応じて、細菌を殺す抗生物質を投与する。このような簡単なケアを受けるだけで、患者は急速に回復する。

