
津波の被害を受けたタミル・ナードゥ州で洪水が発生
2005年12月22日掲載
2004年にスマトラ島沖地震・津波の被害を受けたインド南部のタミル・ナードゥ州を、モンスーンによる雨や嵐が3ヵ月近くにわたって直撃している。この地域における国境なき医師団(MSF)の援助活動について、広報スタッフのセルジオ・セッチーニが報告する。
11月27日に国境なき医師団(MSF)のチームはカッダロールの南にあるチダンバラムの人びとに医療援助・物資援助を開始した。チダンバラムから移動診療チームがエラナングール、シバヤム、ティルナリユールのパンチャヤット*とシラカラムダナルールのパンチャヤットなどの村々に赴き診療を行っている。洪水によって交通が遮断されていたこれらの村々の人口を総計すると1万人以上になる。

海路でしかアクセスできないため、
ボートで物資を運搬する。
パランギッペッタイ、タミル・ナードゥ州。
MSFのインドにおける活動責任者、セドリック・マルタンは言う。「私たちはこの地域を中心に活動をしようと決めました。救援活動を行う団体がなかったからです。援助活動は既に2004年に津波の被害を受けた地域に向けられており、これらの村々には誰も援助をしに来なかったのです。」
この地域に最初のチームが到着した時、多くの小屋は洪水で流されてしまい、人びとは所持品を失ってしまったという光景に直面した。
地域によっては水位が1.5~2mに達し、人びとは寺院やモスク、学校や地域の建物に避難した。繋がりの強い地域コミュニティーが家や収穫物を失った人びとへの必需品の援助を行なっていた。
この地域では既にバスを利用した移動診療・薬局車が津波被災者のために稼動していた。MSFのチームはこれらを用いて医療援助のために村々を周ることができた。チームは活動開始から2週間以内に1,300家族に毛布を配布し、1日平均70件の診察を行った。

最終的に1,300以上の家族に毛布を
届けることができた。
パランギッペッタイ、タミル・ナードゥ州。
「人びとは普段から医療ケアへのアクセスがなく、既に弱い立場にいます。それにも関わらず重度の皮膚感染症は起きていません。下痢の症例数も伝染病の発生を示すほどではありませんでした。私たちは診察を通じて伝染病が発生する兆候がないかどうか監視していました。動物の死骸があると、地表から井戸の飲料水が汚染されてしまうため、私たちはこうした監視を続ける必要があったのです。」
現在は避難所が主な課題になっている。場所によっては家の再建が始まっているが、この作業には数日かかる。他の地域では再建に少なくとも2ヵ月はかかる。
MSFは活動を始めるにあたって地元のNGOの支援も行った。インド自由青年連盟(DYFI)が食糧を購入し共同台所を設置するのを助けたのだ。
マルタンはこう締めくくった。「診察件数は減少し、伝染病が流行する兆しもありません。結果的にタミル・ナードゥ州での活動を縮小しつつあります。今月末にはプログラムを終了することになるでしょう。今は復興の時期です。復興を担うのはインド政府の役割です。」
*さいころの「5」の目状に配置した5つの村をひとまとめにする、インドの行政単位。一般的には中央に位置する村が最も大きい。村ごとに長老が諸事の面倒を見る。