TOP > 活動ニュース > 必須医薬品キャンペーン > MSFと結核
MSFと結核

結核によって毎年160万人が命を落としており、900万人がこの病気に苦しんでいる。アフリカでは、結核はHIV/エイズ患者の最大の死因となっている。また、毎年約50万人が多剤耐性結核(MDR-TB)を発症している。
結核は、普通の風邪と同様に空気感染する感染症であり、通常は肺を侵す。肺結核には主に、いつまでも続く咳、息切れ、体重減少、寝汗という特徴がある。結核菌に感染しても健康な免疫システムがあれば潜伏状態に保てるため、実際に発症するのは10人にひとりにすぎない。しかし免疫システムが弱くなってくると、数十年後に菌が再活性化することもある。
富裕国では、40年以上前に結核の感染者数が劇的に減少した。しかし、途上国における結核抑制計画はこの病気の撲滅に失敗しており、今日でも結核による死者の99%が途上国で発生している。
国境なき医師団(MSF)は結核に関して、二重の危機と闘っている。通常の治療薬に耐性を持つ新型結核に感染している患者が増加していることと、HIV/エイズ患者の間で結核への感染が急速に拡大していることである。結核を診断するための確実かつ迅速な手段がないことが、事態をさらに悪化させている。医師は、確実な診断ができないまま治療の決断を下さざるを得ないこともしばしばである。
結核は世界的な医療上の緊急事態であるが、MSFスタッフや他の治療提供者は、必要な治療ツールを利用することができないまま、この危機に立ち向かうために日々奮闘している。適切な診断法も治療薬も極度に不足している。
MSFが求めるもの
- 簡単かつ確実で、遠隔地や設備・人材の不足した環境での使用に適した新しい検査法
- 治療期間が数週間にまで短縮され、また薬剤耐性結核に対応した、より治療効果の高い薬
- HIVと二重感染している患者のための、エイズ治療薬との負の相互作用を起こさない薬
- 長期的には、結核予防のための効果的なワクチンが必要
MSFの取り組み
- 結核研究が促進されるよう、さらなる資金拠出を要求:
新たな治療ツールの開発には年間で約9億5千万米ドル(約1016億円)の投資が必要であるが、2005年の投資額はわずか2億米ドル強(約216億円)にすぎなかった。政府や国際機関は、結核への資金面での関与を、さらに増大する必要がある。 - 研究機関と監督官庁に対して、医薬品開発の速度を速める方法を検討するよう要求:
例えば、薬剤耐性結核患者を対象に臨床試験を行うことで、有望な新しい治療薬を、必要な患者により迅速に提供できる。 - 臨床試験対象を途上国にまで拡大するよう要求:
富裕国に住む結核患者の数は、新薬の臨床試験を行うには不十分である。 - 現在の利益主導の仕組みが生む結果として、主に貧しい人びとに影響を及ぼす結核や他の病気が顧みられないままであることがないよう、新たな研究開発モデルを支援
- 有望な新分子の発見を増やすために、科学分野での新たな共同研究の提案を支援
- 各国政府と国際機関に対し、薬剤感受性結核と薬剤耐性結核の双方に取り組むためには、現在の治療ツールでは不十分であると警鐘を鳴らし続け、結核対策を国際保健上の優先分野とするよう要求
- MSFと結核
- 結核は世界中の幅広い状況や背景で見られる。MSFは、アブハジア自治共和国、コンゴ民主共和国、チェチェン共和国などの紛争が長期化している地域や政情不安定な地域、チャドやタイなどにある避難民キャンプ、キルギス共和国などでは刑務所において、結核患者の診療を行っている。また各国で展開する基礎医療プログラムにも結核治療を組み込んでいる。
2006年には、MSFは世界40ヵ国で約2万9千人の結核患者を治療した。
また、増え続ける薬剤耐性結核の患者にも治療を提供しており、2006年には8つのプログラムにおいて259人の患者を治療した。
結核とHIVの二重感染率は、特にアフリカにおけるプログラムで高くなっている。レソトでは結核患者の90%がHIVにも感染している。














