コンゴ民主共和国:徒歩で48時間......妊婦がたどった道のり

2013年02月28日掲載

スサンナ・エリクソン医師(写真左)は現在、コンゴ民主共和国で国境なき医師団(MSF)の活動に参加している。カタンガ州では政府軍と民兵組織「マイマイ」の武力衝突が続き、身の危険を感じた大勢の住民が地域のブッシュに逃げ込んでいる。ブッシュへの避難がもたらす健康への影響は深刻だ。必要な治療を受けられていない患者も多い。妊婦に分娩時合併症が起きた場合は特に危険が大きい。エリクソン医師に、実際のケースについて聞いた。

MSFは2006年5月、カタンガ州東部のシャムワナで紹介病院の運営を開始。キアンビ、ミトワバ、キルワの各保健区域に住む人びとを対象に無償の医療を提供している。活動内容は、マラリア、結核、HIV/エイズ、栄養失調の治療、リプロダクティブ・ヘルス(性と生殖に関する健康)、心理ケア、救急外科など多岐にわたる。

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施設もスタッフも薬もない

エリクソン医師(左)の診察を受ける母子

最低限のスタッフを残し、あとは全員退避させた翌日、早朝に女性が来院しました。緊急の残留チームで最初に対応したケースとなりました。

女性は23歳で、キレンゲという医療施設のない小さな村の出身でした。小規模な診療所のあるカフンベからでも25km離れた場所にある村です。一方、カフンベの診療所も長い間、職員がいません。今回の戦闘の影響だけでなく、医療人材と薬剤がもともと不足しているためです。

女性は自宅にいるときに陣痛が起こり、すでに妊娠後期なのではないかと考えました。そこで、母親の家に行き、伝統的な分娩介助者と治療師を呼びました。3日にわたり、複数の薬草を調合したものを服用。また、治療師は分娩を促すマッサージを行ったとのこと。

意を決して……

4日目に入ってもまだ産まれず、熱が上がり、異臭がして、痛みは強まるばかりなので、家族も非常に不安になったそうです。そして、午前3時、MSFがすべての人を対象に無償の医療を提供しているシャムワナの病院を目指して出発したのです。

徒歩での来院に要した時間は48時間。患者は自転車に乗せられ、男性10人と女性4人が護衛として付き添っていました。路上の治安は良いとは言えず、襲撃に遭うことを心配していたからです。

私たちは、シャムワナの病院に到着した女性を速やかに救急外科に受け入れました。しかし、既に母体は深刻な感染症に冒されており、胎児は亡くなっていました。手術をしていなければ、間違いなく母親も亡くなっていたことでしょう。

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