いま、シリアで起きていること~患者たちの証言(前篇)~

2013年03月07日掲載

シリアの隣国レバノンにある
シリア人難民キャンプで生活する少女

シリアの主要各都市で、2011年3月15日、反体制デモが一斉に行われた。政権への抗議運動は全土に広がり、政府は取り締まりを強化。やがてそれは弾圧へと形を変え、抗議運動は武力衝突へと激化。内戦となり、2年が過ぎようとしている。

国境なき医師団(MSF)はこの間、医療を"弾圧の武器"として悪用することに抗議するとともに、複数の仮設病院を設置して、紛争の被害に遭った人びとへ医療を提供してきた。また、レバノン、イラク、ヨルダンなど周辺国へ逃れて難民となった人びとへの人道援助も続けている。

シリア国内でいま、何が起きているのか。MSFの治療を受けた人びとが証言する。

いま、シリアで起きていること~患者たちの証言(後篇)~

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少女(9歳)は、自宅近くへの砲撃に巻き込まれ、頭部に重傷を負った(写真)。数学教師である母親は、娘のけがとこれからの生活に不安を抱いている。

土曜日のことでした。自宅近くで砲撃があったのです。塀が崩れ落ちました。娘は頭にけがを負い、指も1本、骨折していました。村には診療所がなく、隣町の野外病院まで連れて行きました。病院は地下室のようなところでした。止血と傷口の縫合のみでした。レントゲン検査もお願いしたかったのですが、設備がありませんでした。

昼も夜も銃声が聞こえてきます。その先にはヘリコプターや戦闘機……。ほぼすべての村人が避難してしまいました。ガスも電気も水も食べ物も電話もありません。生きるために必要なものがないのです。

食べ物は備蓄していたものが残っているだけです。私は数学教師ですが、この2ヵ月、給与の支払いも受けていません。1週間前、町に飛行機が飛んで来て、教師も生徒も避難しました。教室の窓ガラスはすべて割れ、机といすが残っているだけです。水道も止まっています。

MSFの緊急医の話

この女の子のけがの原因は爆弾の破片です。野外病院で傷口の縫合を受けたとのことですが、適切な処置ではありませんでした。そこで、MSFでは、縫合を解いて体内に残っていた破片を除去しました。経過が順調であれば、今日にも帰宅できますが、包帯を交換してもらえる場所を探す必要はあるでしょう。

少女(8歳)は砲撃で頬に大けがを負った(写真)。回復は順調だが、患部が黒ずみ、少女の顔を変えてしまった。少女の父親に話を聞いた。

3週間ほど前のことです。娘が通りに出ているときに、砲撃があったのです。指と足、そして顔の頬の部分をけがしました。3週間ほど前のことです。

専門医療施設で手当てをしてもらいました。その後、MSFの病院で手術を受けました。それからまた、トルコの病院に移送され、皮膚移植をしました。太ももから顔への移植です。介護のため、今日こちらに戻って来て、頬に軟膏を塗ってもらいました。回復に要する時間も、一生傷が残るかどうかも、今はわかりません。

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