スーダン: 人口5万人の町に6.5万人が避難、その理由とは?

2013年03月29日掲載

MSFのフェルナンド・メディナ活動責任者

スーダンの北ダルフール州ジェベル・アミール地域では、金鉱の所有を巡る部族間抗争が続き、2013年に入って10万人近くが退避を余儀なくされている。ダルフール紛争勃発から10年が経過した今も、同地の医療ニーズは膨大だ。医療・人道援助の継続が必要とされている。MSFのスーダンでの活動責任者であるフェルナンド・メディナに聞いた。

MSFは1979年からスーダンで活動。現在は、ゲダレフ州、センナール州、北・南・東ダルフール州で援助プログラムが展開している。ダルフール地方での活動は1985年に始まり、2004年以降は継続的な活動となっている。

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ジェベル・アミールの現状は?

A.今回の抗争は、地元経済にとって非常に重要な金鉱を巡る2つの部族間抗争に端を発しています。死傷者の推計はまちまちですが、10万人が退避したという報告もあります。

避難した人びとは現在、複数の場所に散らばっています。エル・セライフに避難した人数が最大で、約6万5000人。町の人口約5万人よりも多い数です。MSFが現地で、医療・人道援助活動を行っています。

MSF以外に現地で活動中の援助団体は?

A.国内の2団体の活動は、今回の治安悪化で一時中止に追い込まれてしまいました。MSFが唯一の援助団体となっています。

抗争勃発後のMSFの対応は?

A.複数の避難先に調査チームを派遣しました。最も差し迫ったニーズがあると判断したのはエル・セライフです。病院はありますが、大勢の人びとがなだれ込み、受け入れ能力の限界に達していました。そこで、MSFは基礎医療プログラムと移動診療の立ち上げを計画したのです。

住民に被害は?

A.最後の部族間衝突が2013年2月下旬にあり、MSFは緊急対応の構えをとっていました。エル・セライフ郊外が攻撃され、大勢がけがをして病院で診療を受けました。MSFと病院スタッフが直接治療にあたり、重傷者は北ダルフール州都のエル・ファーシルにある病院に移送しました。これらは48時間以内の出来事です。

3月26日までに121人を診療しました。状況がやや落ち着いたので、5才未満の子ども9600人に栄養治療食を提供しています。

さまざまな困難の中、活動を継続しているのですね。具体的にはどのような活動を?

A.ジェベル・アミールの例のように保健省と協力し緊急対応を行うほか、特定の施設や移動診療を通じて、基礎医療、母子保健医療、予防接種などを提供する通常プログラムを展開しています。

北ダルフール州北部のダル・ザガワ、エル・ファーシルの西に位置するタウィラ地域、反政府勢力の支配地域であるカグロの3ヵ所でも活動しています。

2013年2月には、10万人を対象とした黄熱病の集団予防接種に関わりました。また、それに先駆け、2012年12月以来の保健省との協力態勢を通じ、国内合計7万5000人に同じく黄熱病の予防接種を行っています。

カグロでの活動は、薬剤と医療物資の供給が不安定で2012年に中止を余儀なくされています。集団予防接種は実施できましたが、プログラムを再開する見込みはありますか?

A.輸送交通の問題に加え、物資や人材の移動に必要な許可が下りないため、現地入りが難しい状況が続いています。活動再開を願っていますが、薬品の輸送や医療スタッフの派遣に関する問題が解消されません。ただ、担当局との交渉はよい方向に進んでいると考えています。許可には前向きですが、時間が必要なようです。先日の予防接種は確かな前進です。

紛争は10年前から続いています。人びとが直面している医療・人道上の問題とは?

A.医療を受けられる環境の向上が不可欠ですが、診療所などへの物理的な距離が問題です。また、薬・医療器具の供給の不安定さや就労許可の遅滞により、迅速な医療活動が妨げられています。

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