粉々の骨 吹き飛んだ筋肉...混乱の病院 警備員も担架を運び続けた

2018年06月12日掲載

抗議デモの最中に銃撃され、治療を受けた患者 ガザ市内の診療所で診察を待つ
抗議デモの最中に銃撃され、治療を受けた患者
ガザ市内の診療所で診察を待つ

祖国への帰還を求めて3月からデモが続いている中東パレスチナのガザ。境界線沿いで抗議活動に参加するガザ市民にイスラエル軍が実弾を発砲し、負傷者はたった2ヵ月で1300人にものぼっている。足を切断しなければならなくなった人、もう歩けないかもしれない人。混乱の現場で国境なき医師団(MSF)のスタッフが見たものは——。

診療所で警備員として働くハメド
診療所で警備員として働くハメド

「3月30日以降に診療所で受け入れた銃撃負傷者の数は500人を超えました。けがをした人が一斉に来院すると診療所の皆の負担も大きくなりますが、患者を助けるために最善を尽くします。患者がとても苦しんでいることはわかっているので……。警備員の私も、担架を運んで患者が救急車から降りるのを手伝ったり、けがで動けない人のために水を買いに行ったりしています。私がここにいるのは援助のためです。私たちは人間で、人道援助で働く者なのです」

手術室に入る整形外科医のリン
手術室に入る整形外科医のリン

「患者の多くは、骨が粉々に砕け筋肉や腱や皮ふの大部分が吹き飛ばされていたり、軟組織が損傷し神経や血管が傷ついていたりします。すべてが損傷している重篤な患者もいます。こうした傷を負った人は、複数回の手術を受けなければならず、回復するには長い時間が必要です。再び歩けるようになるには、長期のリハビリが求められます。以前と同じ生活にはもう戻れないでしょう」

薬や医療資材の管理を担う薬剤師のサマル
薬や医療資材の管理を担う薬剤師のサマル

「MSFで働く薬剤師として、援助が必要な人や、最近の暴力的な状況で傷ついた人を援助するため、緊急対応をしています。すぐに活動を拡大し、薬・医療用消耗品・外科器具・その他の備品をガザ市内の複数の保健省管轄病院に寄贈しました。これらの施設ではスタッフが懸命にやりくりしているものの、依然として深刻な物資不足に直面しています」

急増した患者に対応している看護師のザヘル
急増した患者に対応している看護師のザヘル

「MSFはわずか2ヵ月の間に複数の診療所で合計1200人余りを受け入れ、急患への対応に力を尽くしています。外科チームの派遣や薬の寄贈があり、私この診療所でもできる限り質の高いケアを行おうと懸命に活動してきました。治療の必要な患者があまりにも多く、けがの状態もひどいことから、負傷者の一斉来院に備えて看護師30人を追加採用しました」

複数の手術を振り分ける、調整担当のアブー・ジャセル
複数の手術を振り分ける、調整担当のアブー・ジャセル

「銃撃で負傷した患者が急増し、ガザ保健省からMSFに支援要請がありました。私たちは外科医、看護師、麻酔科医を保健省の病院に派遣し、難しい手術と感染予防に注力しながら、皮膚移植と再建手術も行っているところです。また、手術をした患者が入念な術後ケアを受けられるよう、患者をMSF診療所へ引き継いでいます。保健省のスタッフと緊密に連携し、私たちの知見を伝えながら、この悲惨な状況下で保健医療体制を支えられるよう全力を尽くしています」

ガザ北部の病院で活動する手術室看護師のレヒドル
ガザ北部の病院で活動する手術室看護師のレヒドル

「MSFの創傷ケア手引書の中に、まさにその通りだと思う一文があります。『患者の傷口だけでなく、患者そのものに対応しなければならない』。ガザで活動して最初の数週間に見たのは、銃撃された人の大半が若い男性だということです。重傷なので、私たちが適切な処置をしなければ、若者たちはこれから一生障がいが残る恐れが大きいでしょう」

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