「こんな日が来るなんて」——"薬が効かない結核"からの生還

2017年12月20日掲載

結核にはいくつかの段階がある。通常の単純性結核、一般的な薬(第1次選択薬)が効かなくなった結核、複数の薬が効かなくなった結核。治療を中断したり、薬をきちんと飲まなかったりすると、結核菌が薬への耐性を持ってしまう。その段階からの治療はさらにつらく長い。薬の副作用で幻覚や幻聴などに悩まされることもある。

ロシア連邦の一角、チェチェン共和国。国境なき医師団(MSF)と保健省が運営する結核対策プログラムで、2014年に画期的なできごとがあった。半世紀ぶりに開発された新薬「ベダキリン」と「デラマニド」の導入に成功したのだ。その結果、症状が最も重い"超多剤耐性結核"患者の治療計画が新たなものに生まれ変わった。

それから3年。カヴァニさん、タメルランさん、モヴサルさんは新薬で命が助かった。現在、それぞれの場所で元気に暮らしている。

「3人の子どものためにがんばりました」/カヴァニさん(26歳)

左:結核治療中のカヴァニさん(2014年)
右:現在は完治して自宅に戻っている(2017年)

こんな日が来るなんて信じられませんでした。結核が治り、長女(6歳)の小学校入学に立ち会えるなんて。人生の目標を持つことはとても大切です。

私は3人の子どものためにがんばりました。子どもにとって母親がいないということがどれだけ大変か……私は母を結核で亡くしていますから。

(結核治療のための)目標を持ち、我慢することです。もちろん難しいことですが、続けていくことが大事です。

「結核患者を怖がるのは間違いです」/タメルランさん(45歳)

左:結核治療中のタメルランさん(2014年)
右:現在は症状が回復に向かっている
仕事での目標や完治後にしてみたいことを熱く語った(2017年)

みんな結核患者を怖がり、避けています。でもそれは間違いです。

新薬が開発されたおかげで1回の治療にかかる時間が短くなり、薬を飲む量も少なくなりました。

私の場合、結核が17年間も潜伏していたみたいです。結核の検査を受けて、がっかりする結果だったら……それはそういうこと。治療を受け、薬を飲めばいいんです。私はこの薬を2年ほど飲んでいます。それより前の薬と比べてずっとましですよ。

今は電力技師として働いています。大好きな仕事です。

「『治る』と信じることが大事」/モヴサルさん(51歳)

左:結核治療中のモヴサルさん(2014年)
右:完治して村に戻り、大家族で暮らしている
孫の相手をすることが楽しみな毎日だ(2017年)

きちんと治療したら今度こそ治ると言われました。だからきっちり言われたことを守りましたよ。薬は忘れず飲み、点滴も打ちました。薬の副作用は重いものでした。

私は糖尿病と心臓病にもなっています。"病気の花束"を抱えているようなものですね。結核新薬のベダキリンは最初、耐え難いと思いましたが、1~2ヵ月すると慣れました。

MSFの医師にはどんなことでも聞けましたし、すべて説明してもらえました。現在は、退院して家族と一緒に暮らしています。もちろん、病院より自宅にいるほうがいいですよ。

病院で私と一緒に治療を受けていた人はみんな治りました。「治る」と信じることが一番大事です。いろいろなことがその信念にかかっています。超多剤耐性結核の治療は、今は長い時間がかかるかもしれません。でもそのうち、もっといい治療法が見つかるはずです。

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