バングラデシュ:少女もレイプ被害に――ロヒンギャ難民は62万人を超え、性暴力や感染症へ懸命の対応が続く

2017年12月04日掲載

8月に起きた武力衝突をきっかけに、ミャンマーからバングラデシュへ避難したロヒンギャ難民は62万人(11月17日現在)を超えた。国境なき医師団(MSF)がバングラデシュ南東部のコックスバザール県で治療した人の数も、この3ヵ月間で6万2000人を超えた。性暴力の被害へのケアや感染症の予防など、懸命の援助活動は続く。

1日に400人以上の患者を診療

重度の栄養失調で治療を受ける生後15日の赤ちゃん 重度の栄養失調で治療を受ける生後15日の赤ちゃん

下痢や気道感染、幼い子どもたちの栄養失調――。コックスバザール県の難民キャンプで暮らすロヒンギャの人びとは、さまざまな健康被害に苦しんでいる。すべて、キャンプの衛生状態が悪いためだ。仮設の住まいも、生活用水や飲み水も清潔ではない。

MSFは複数の難民キャンプで15の診療所を運営するほか、移動診療もしている。クトゥパロン難民キャンプの診療所では、病床を50床から70床へ増やし、感染症にも対応できるよう隔離病棟を準備した。現在、1日に400人以上の外来患者を診療している。

バルカリ難民キャンプの診療所では母子保健を中心に、1日に400人以上を診療している。2017年末までには新たな入院施設も設置予定だ。そのほか、マイナーゴナ、ブルマパナ、ジャムトリなどで診療を続けている。

性暴力の被害を受けた人びとへのケアも

クトゥパロンの診療所では性暴力の被害にあった78人の患者を治療した。9割は8月25日以降にミャンマーから逃れてきたロヒンギャの女性で、半数が18歳以下、10歳にもならない少女もいる。MSFが診療した数はほんの一部であり、実際にはもっと多くのロヒンギャの女性や少女が性暴力の被害に遭っていると考えられる。

性暴力の被害者は助けを求めようとしないことが多い。恥ずかしく思い、偏見を恐れる。治療や心のケアが受けられることを知らなかったり、助けを求めたら自分に何が起こるか不安だったりする。また、避難してきて間もない頃は、まずは何よりも住む場所や食べ物などの基本的な援助が必要だ。

MSFは専門スタッフを置いて、強姦や性的暴行などで受けた傷の治療を行っている。ミャンマーで受けた傷は時間が経っており、強姦によって妊娠してしまった女性や少女もいると思われる。今後数週間のうちに、治療を求めて診療所にくる患者が増えるだろう。女性、子ども、そして男性も、心のケアを含めた治療をきちんと受けられるよう、MSFは訪問を続け、性暴力の治療などが無料で受けられることを伝えている。

感染症の流行を防ぐために

井戸で洗濯をするロヒンギャの子ども 井戸で洗濯をするロヒンギャの子ども

医療活動とともに、病気の広がりを防ぐため、水や衛生にまつわる活動にも注力している。MSFはこれまでにトイレ510基、掘り抜き井戸105本と重力式の給水システムを設置した。人びとが暮らす地域に平均55トンの水を毎日運んでいる。

MSFはほかの団体とも協力して、援助を届けるのが難しい地域にトイレや給水ポイントを設置する予定だ。また、新しくキャンプに避難してくる難民が安全な飲み水を手に入れ衛生的なトイレを使えるよう、到着の玄関口に緊急対応チームを派遣した。クトゥパロン難民キャンプとバルカリ難民キャンプでは、2017年12月末までに新たにトイレ1000基と井戸400本を設置することを目指している。

さらに、難民キャンプではここ数週間はしかが疑われる症例が増えてきている。11月の第2週には20件の重症例も確認され、バングラデシュ政府が予防接種キャンペーンを始めた。11月末までに生後6ヵ月から15歳の子ども27万人以上を対象にワクチンを接種する目標だ。MSFは予防接種の日時を知らせる広報活動や、接種会場の選定、ワクチンの輸送などを支援している。

バングラデシュ政府は、2歳未満の子どもにポリオの経口ワクチンと肺炎球菌ワクチン、5種混合ワクチンの予防接種も行っている。MSFの診療所ではこれらのワクチンの追加接種もできるようにしている。

ラカイン州への自由な立ち入りを

バングラデシュにある難民キャンプはすでに過密状態で、そこに毎日、新たな難民が到着しており、受け入れが難しい状況だ。MSFはバングラデシュで政府とともに活動を続け、人びとが避難場所、食べ物や水を手に入れ、医療をきちんと受けられるよう援助を続けているが、生活環境が改善されなければ、公衆衛生上の緊急事態が起こる可能性もある。

一方、ミャンマーのラカイン州北部にはまだ15万人ほどのロヒンギャの人びとが残っていると思われる。必要な医療を受けられずにいるが、MSFをはじめ、独自に活動する国際人道団体はこの地に入ることを許されていない。ここに立ち入りを許されているのは、ミャンマー赤十字など、ミャンマー政府に選ばれた団体だけだ。MSFはラカイン州へ自由に立ち入り、必要な人びとに援助を届けられるよう、強く求めている。

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