コンゴ民主共和国: コレラの予防法は知っているのに、流行が広がったのはなぜ?

2017年11月02日掲載

治療を受けるアリスティド君 治療を受けるアリスティド君

手を洗い、トイレを清潔に。飲み水は浄水処理をして、果物や野菜はきちんと洗う。アリーヌ・カエンドさん(22歳)はコレラの感染予防について正しい知識があって、息子のアリスティド君(5歳)をどうコレラから守ったらいいかもわかっていた。それなのに、アリスティド君は感染してしまった。

暮らしの水が命取りに

「うちでは水を消毒していますが、子どもたちは湖で遊んでいる間に水を飲んだのかもしれません。適切に調理されていない食べ物を分け合ったり、路上で買ったりすることもあるでしょう。拾った果物をそのまま食べてしまうこともあります……」

コンゴ民主共和国の東部、南キブ州ミノバ市。アリーヌさんは、病気になったアリスティド君を連れ、国境なき医師団(MSF)が設置したコレラ治療センターに直行した。MSFはここで、無償でコレラ治療をしている。アリーヌさんはキブ湖近くにある町、ブドンドに住んでおり、隣人たちも同じ症状で治療を受けている。キブ湖は南キブ州の主水源であり、時に命取りとなる病原菌の住みかでもあるのだ。

浄水処理をしないまま川の水を飲む

整備されていない水源から水を汲み、料理や飲み水に 整備されていない水源から水を汲み、料理や飲み水に

キブ湖周辺だけでなく、コレラは国内各地にまん延している。今年は3万8000件が記録され、MSFは1万8000件以上の治療をした。初めて患者が報告された町もある。

ミノバ市の治療センターに息子を連れてきたカヒンド・チラバさんは、自宅があるニャマササ村で、川の水をくんでいた。村では水源設備が壊れているうえ、浄水処理用の錠剤を受け取る塩素消毒ポイントもない。村人は生水(なまみず)を飲む危険について知らず、多くの人が病気になったという。

コンゴでMSFの活動責任者を務めるフランシスコ・オテロは、「コレラが今年これほどに流行した理由の1つが、干ばつです」と話す。「井戸が枯れたり水位が下がったりしているのに、コンゴ当局は住民に安全な飲み水を提供できず、現地の人びとは湖や川から水をくんでこなければならなくなりました。適切な給排水と衛生設備がなければ、感染が続く恐れがあります」

新学期の始まりも流行を後押し

アウェザイェ君と母親のジャクリーヌさん アウェザイェ君と母親のジャクリーヌさん

コレラにかかりやすいのは5歳未満の子どもだが、年長の患者も増えている。10歳のアウェザイェ君は激しい下痢になり、母親のジャクリーヌさんが治療センターに連れてきた。アウェザイェ君は学校まで1時間以上かけて歩いて通っているが、ジャクリーヌさんは、「通学途中に息子が食べたり飲んだりすることは止められません」と語る。新学期が始まり、流行に拍車がかかった可能性もある。

MSFのオテロはこう話す。「南北キブ州は20年にわたる紛争で人びとが常に避難しなければならず、特に南キブ州はNGOの数も減って、見捨てられつつあります。今年は、はしかの流行もありました。そして今回のコレラです。国連は南キブ州の緊急事態レベルを最高のレベル3に引き上げました。注意深く見守っていく必要があります」

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