バングラデシュ:難民キャンプと安全な母国......ロヒンギャ難民を診た医師のもどかしさ

2017年10月13日掲載

雨の中、国境の川を渡りバングラデシュへ逃れるロヒンギャ難民 キャプション 雨の中、国境の川を渡り
バングラデシュへ逃れるロヒンギャ難民

ミャンマーから国境を越え、多くのロヒンギャ難民が隣国バングラデシュへ逃れている。国境なき医師団(MSF)のドイツ人医師、コンスタンティン・ハンケは、2017年1月から10月までバングラデシュのクトゥパロンで、暴力から逃れてきた人びとを治療してきた。ハンケ医師がそこで見たものは――。

傷を負ったまま国境を越える

クトゥパロンの診療所で治療を受ける患者 クトゥパロンの診療所で治療を受ける患者

8月25日、ミャンマー・ラカイン州の状況が悪化していることがわかり、到着する難民への備えが必要かもしれないと考え始めました。まさにその晩、襲撃され傷を負った人びとがやって来たのです。

病院は大変な状況に陥りました。初めは成人男性が中心だった患者が、やがて女性や子どもたちにも広がりました。みんな、何とか国境を越えて来た人びとです。銃撃の傷、やけど、ほかにもひどい外傷を負いながら。

まだ傷の新しい患者の対応を終え、次は、重傷患者の治療へ移りました。こんなふうに傷を負いながらミャンマーからMSFの診療所まで逃げのびてきたことは、とても衝撃的でした。

生まれたばかりの赤ちゃんが置き去りに

ここ5週間にたどり着いたロヒンギャの人びとの数は、51万5000人を超えています。ひどい経験を抱えて、やって来ます。家に閉じ込められて火をつけられた人もいます。家族を失って、身寄りのない子の治療もしました。女性が連れてきた生まれたばかりの小さな赤ちゃんは、国境の草むらに置かれていたそうです。

小さな女の子と母親が相次いで、運び込まれてきました。女の子は頭に傷を負い、母親は重度のやけどを負っていました。一家で2人のほかに生き残った人はいないそうです。MSFは治療のほか、女の子が遊んだり、カウンセリングを受けたりする時間を作りました。2人とも回復は順調です。

すべてを失った人びとを目の当たりにして

住居を作るため竹を集め、川で衣類を洗う 住居を作るため竹を集め、川で衣類を洗う

すべてを失った人びとを目の当たりにして みな、すべてを失いました。何日も歩いてバングラデシュに逃げるほか、できることはないのです。ロヒンギャ難民の多くが劣悪な環境で体調を崩しています。難民キャンプで狂犬病の犬が走り回り、13人が噛まれたこともあります。こんなことが後を絶ちません。

想像してみてください。みなさんが自宅でくつろいでいて、ひどい雨が降り出したとき、ロヒンギャの人たちが同じ雨に打たれながら必死に眠ろうとしていることを。猛暑のときには、ロヒンギャの人たちは清潔な水すら手に入らないことを。

もちろん紛争が起きているのは世界でここだけではありません。でも、この状況を実際に自分の目で見てから、母国に戻って大事にされていることを目にすると、もどかしい気持ちでいっぱいになります。

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